最新記事

日本経済

小売業界「弱肉強食」 スーパー、百貨店跡に居抜きでドンキ、ニトリ進出

2016年11月5日(土)21時21分

ドンキによると「物件規模やロケーションで異なるが、居抜きの場合、新規出店に比べて出店コストは半分かそれ以下で済む。さらには、新築に比べて賃料も20―30%安いことが多い」(高橋光夫専務・CFO)という。また、同社には「標準店舗」という概念がないため、店舗規模の大小問わず対応できる点も強みになっている。

<新旧業態の交代、一気に進む可能性も>

1日に大手百貨店が公表した10月売上高速報によると、中国の大型連休「国慶節」があったにもかかわらず4社そろって前年割れとなった。百貨店は、郊外店だけでなく、昨年まで収益を支えていた都心店舗も苦境に立たされている。

百貨店の売上高はピーク時から35%減と縮小しているにもかかわらず、売り場面積は15%程度しか減っていない。足元の逆風について、百貨店協会関係者は「リーマンショック級の低迷もあり得る」と話しており、継続が困難になる店舗がさらに増えることも予想される。ユニーやイトーヨーカ堂が閉店計画を打ち出しているGMS業界も、店舗閉鎖の打ち止め感は出ておらず、残る店舗の回復シナリオは描き切れていない。

消費低迷の直撃で衰弱しつつある伝統的な業態が縮小し、身の軽い新興勢力がとってかわる流通業界は、まさに「弱肉強食」の状況にある。小売り業界関係者のなかには、足元の動きを「業界の潮目の変わり目」と話す向きもあり、一気に新旧業態の交代が進む可能性も指摘されている。

(清水律子 編集:北松克朗)



[東京 4日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米銀のSRF借り入れ、15日は15億ドル 納税や国

ワールド

中国、南シナ海でフィリピン船に放水砲

ワールド

スリランカ、26年は6%成長目標 今年は予算遅延で

ビジネス

ノジマ、10月10日を基準日に1対3の株式分割を実
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中