小売業界「弱肉強食」 スーパー、百貨店跡に居抜きでドンキ、ニトリ進出
ドンキによると「物件規模やロケーションで異なるが、居抜きの場合、新規出店に比べて出店コストは半分かそれ以下で済む。さらには、新築に比べて賃料も20―30%安いことが多い」(高橋光夫専務・CFO)という。また、同社には「標準店舗」という概念がないため、店舗規模の大小問わず対応できる点も強みになっている。
<新旧業態の交代、一気に進む可能性も>
1日に大手百貨店が公表した10月売上高速報によると、中国の大型連休「国慶節」があったにもかかわらず4社そろって前年割れとなった。百貨店は、郊外店だけでなく、昨年まで収益を支えていた都心店舗も苦境に立たされている。
百貨店の売上高はピーク時から35%減と縮小しているにもかかわらず、売り場面積は15%程度しか減っていない。足元の逆風について、百貨店協会関係者は「リーマンショック級の低迷もあり得る」と話しており、継続が困難になる店舗がさらに増えることも予想される。ユニーやイトーヨーカ堂が閉店計画を打ち出しているGMS業界も、店舗閉鎖の打ち止め感は出ておらず、残る店舗の回復シナリオは描き切れていない。
消費低迷の直撃で衰弱しつつある伝統的な業態が縮小し、身の軽い新興勢力がとってかわる流通業界は、まさに「弱肉強食」の状況にある。小売り業界関係者のなかには、足元の動きを「業界の潮目の変わり目」と話す向きもあり、一気に新旧業態の交代が進む可能性も指摘されている。
(清水律子 編集:北松克朗)