最新記事

米大統領選

米テレビ討論、クリントン「二重の負担」で不利

2016年9月26日(月)16時33分
ニコラス・ロフレド

Scott Audette-REUTERS (左), Javier Galeano-REUTERS(右)

<政策もビジョンも経験もあり、大ぼら吹きでもないクリントンが、なぜトランプに負けそうなのか>

 明日夜に行なわれる米大統領選の第1回テレビ討論は、米大統領選の勝敗を大きく左右するかもしれない。民主党候補のヒラリー・クリントンと共和党候補のドナルド・トランプは、各種の世論調査でデッドヒートを演じている。クリントンに支持率で水を開けられていたトランプは、ここ数週間でかなりの挽回に成功した。異例尽くしの選挙戦にあって、どんな成果を出せば「勝利」になるのか。過去最高の視聴者数が見込まれる討論の前日、両候補の代理人がテレビで前哨戦を演じた。

【参考記事】トランプ当選の可能性はもうゼロではない

 テレビ討論での勝利の定義は両陣営ともシンプルだ。有権者が聞きたがっている問題について直接語りかけ、指導者としての資格を見せることだ。だが政策論議をどこまでも甘く見るトランプとの対決を余儀なくされたクリントン陣営は、ビジョンや政策を語る前に、彼女だけがトランプ発言の誤りを訂正するという二重の負担を負わされるのではないかと懸念している。視聴者には、これ以上トランプの中身のない発言を許容すべきではないと訴える構えだ。一方のトランプ陣営は、好感度の低いクリントンの性格や不正直さ、不透明さなどを有権者にいっそう印象付けることを狙う。

行儀さえよければトランプの勝ち?

 クリントン陣営のロビー・ムーク選挙活動委員長やティム・ケーン副大統領候補は、クリントンがトランプの馬鹿げた主張をいちいち訂正させられた挙げ句に、扇動的な発言を慎みさえすればトランプが優位に立つという不利な戦いに持ち込まれるのを心配する。トランプが月曜のテレビ討論でこれまでの選挙戦さながら無責任な言動を繰り返すかどうかに気を揉んでいる様子だ。

【参考記事】現実味を帯びてきた、大統領選「ヒラリー対トランプ」の最悪シナリオ

「トランプの嘘を訂正しながら国民向けのビジョンを説明しなければならないのは不公平だ」と、米ABCニュースの政治討論番組「ジス・ウィーク」に出演したムークは言う。「通常のテレビ討論なら、両大統領候補ともに深い経験があり、明確で具体的な政策を掲げているはずで、ドナルド・トランプのように嘘ばかり言う候補者が登壇するなど普通はあり得ない。だからこそヒラリーには、国民生活を向上させるために何をしたいかを視聴者にしっかり伝えるために一定の時間が与えられるべきだ」

【参考記事】討論会の勝敗を左右するメモの活用法

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBは利下げ余地ある、中立金利から0.5─1.0

ビジネス

訂正-再送-米ワーナー、パラマウントの買収案を拒否

ビジネス

企業は来年の物価上昇予測、関税なお最大の懸念=米地

ビジネス

独IFO業況指数、12月は予想外に低下 来年前半も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中