最新記事

宝石

永遠の輝き偽るニセモノを追う デビアス合成ダイヤの識別に注力

2016年8月21日(日)20時46分

8月17日、世界の天然ダイヤモンド市場の約30%を握るデビアス社にとって、天然品と合成品の識別が信用維持の基本であることは言うまでもない。写真はイギリス南東部メイデンヘッドにあるデビアス国際ダイヤモンド鑑定研究所で撮影された映像から。15日撮影(2016年 ロイター/Reuters TV)

 世界の天然ダイヤモンド市場の約30%を握るデビアス社にとって、天然品と合成品の識別が信用維持の基本であることは言うまでもない。同社が宝飾品として販売するダイヤは全て天然品だが、近年の飛躍的な技術向上によって、素人の目には本物と何ら変わりなく映る「合成ダイヤ」が市場に出回り始めているためだ。

 天然ダイヤモンドは地球内部で数十億年という時を経て生成される。一方、合成ダイヤモンドは、研究室でわずか数日でつくることが可能だ。

 デビアスは、販売するダイヤモンドは間違いなく天然品であることを保証している。さらに、天然品と合成品を見分けるための検証機器の開発・販売に力を入れている。

 合成ダイヤを作り出す技術の進歩に伴い、宝飾品業界において、こうした検証機器の需要も大きく伸びている。デビアスは米国宝石学協会(GIA)から2012年に販売ライセンスを取得して以降、数億ポンド相当の検証機器をダイヤモンド取引業者や宝飾業者に販売している。

 本物とニセ物の鑑定は、デビアスにとってはまさに死活問題だ。合成品の価格は本物よりも30%ほど安く、投資価値もない。合成ダイヤを天然物と偽って売りさばく悪徳業者の不正行為も断固阻止する必要がある。

 デビアスのダイヤモンド分析機関である「国際ダイヤモンド鑑定研究所(IIDGR)」の代表、ジョナサン・ケンダル氏は「ダイヤモンドのビジネスでひとつだけ避けたいことがあるとしたら、顧客からの信用を失うことだ」と語る。

 ロンドン西部メードンヘッドにある同研究所では、100%の確率で天然品と合成品を見分けることができるとスタッフが自信を示す。

 アナリスト試算によると、合成品の年間生産量は30万カラット。一方、ダイヤモンド原石は毎年約1億3000万カラット採掘されている。技術の進歩により合成品市場は拡大し、品質も向上が見込まれるが、天然ダイヤモンドの生産は今後は頭打ちが予想されるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国の世界的な融資活動、最大の受け手は米国=米大学

ビジネス

S&P、丸紅を「A─」に格上げ アウトルックは安定

ワールド

中国、米国産大豆を買い付け 米中首脳会談受け

ビジネス

午後3時のドルは155円前半、一時9カ月半ぶり高値
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 9
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 10
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 10
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中