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タックスヘイブン世界の企業資金2210億ドルが低税率国へと流入
ここ数年の資金流入は富裕国よりも途上国の方が増える
5月3日、国連貿易開発会議は企業が昨年2210億ドルの資金を税率が低い国に移したと指摘した。写真はグーグルの節税対策を批判する小型飛行船。テルアビブで4月3日撮影。(2016年 ロイター/Baz Ratner)
国連貿易開発会議(UNCTAD)は3日、企業が2015年に2210億ドルの資金を税率が低い国に移したとする報告書を発表した。主な移転先はルクセンブルクとオランダだった。タックス・ヘイブン(租税回避地)とされる英領のバージン諸島とケイマン諸島へは720億ドルが流入した。
ただ、ルクセンブルクとオランダは、企業の租税回避を取り締まる欧州連合(EU)の新規制の適用を開始。昨年第4・四半期には、両国から何十億ドルもの資金が流出した。
バージン諸島とケイマン諸島への資金流入はこれまでの平均とほぼ同じだったが、資金の出元はここ数年、富裕国よりも途上国の方が目立つという。
2010年から14年の上位4カ国・地域は、香港と米国、ロシア、中国だった。
中米パナマの法律事務所から流出した文書が、世界の富裕層や権力者による租税回避地を使った資産隠しを明らかにして以来、英国のキャメロン首相は、ここ数カ月にわたって租税回避を取り締まるよう求める圧力にさらされている。
UNCTADの報告書は、企業が節税のために国境を越えて資金を移転させていることは、政策当局者にとって引き続き「主要な懸案事項」だとした。26の途上国から企業をサンプル抽出して分析したところ、14年には中国よりもバミューダでより多くの利益を計上していたとしている。
報告書は、こうした仕組みに利用される「特別目的事業体(SPE)」について、進出先の経済とのつながりはあまりない子会社で、資産や負債を保有していたり資金を調達したりすると記載。
昨年第3・四半期にオランダのSPEに流れ込んだ資金は1480億ドルにのぼり、07年以来の高水準だった。ルクセンブルクと英国からの投資が多かった。ただその後、資金の流れは急速に反転した。
米国で資金を調達しているファンドに関連したルクセンブルクへの資金流入は、昨年年初以降の3四半期に急増し、14年の同じ時期の3倍となった。ただ第4・四半期は1150億ドルの純流出だった。
報告書は「ルクセンブルクとオランダでSPEの資金の流れに強い相互関係があることは、こうした事業体が両国で濃く複雑なつながりをもっていることを示す。資金の必要度や納税プランに応じて資金が頻繁に行き来している」としている。