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イラクISIS支配下で民間人犠牲者1万9000人の地獄、国連報告書
生きたまま焼く、ブルドーザーでひく……公開処刑の詳細も含め、国連が怒りの報告書を公表
恐怖の支配 ISISが支配するイラク第2の都市モスルからは800~900人の子供が連れ去られた(モスル市街、2014年撮影) REUTERS
イラクではこの2年弱の間に1万9000人近い一般市民が殺されており、ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)は今もおよそ3500人を奴隷にしている。
国連のイラク支援ミッションと人権高等弁務官事務所が19日に公表した報告書によれば、ISISとイラク政府との戦闘が続く同国で、1万8802人以上の民間人が殺害され、320万人が国内避難民となり、3万3245人が負傷している(期間は2014年1月1日~2015年10月31日)。
「イラクの市民は信じがたいほどの暴力に苦しんでいる。ISISは組織的で広範な暴力を続けており、国際人権法と人道法に違反している」と国連の報告書は記す。「場合によっては、戦争犯罪、人道に対する罪、そしておそらく集団虐殺に該当する行為だ」
報告書はISISによる処刑方法を詳細に記載している――銃殺する、斬首する、ブルドーザーでひく、生きたまま焼く、ビルの上から落とす。多くは公開処刑だ。ISISの標的には、ジャーナリストや警察官、医師、法律家、旧イラク軍兵士も含まれる。
子供には洗脳教育や軍事訓練
ISISはまた、悪魔を崇拝しているとして、イラクの少数派ヤジディ教徒に属する女性や子供を中心に、およそ3500人を捕らえているという。その多くは性奴隷にされるか、逃亡を企てた後に殺されたようだ。
ISISが支配するイラク第2の都市モスルからは、800~900人の子供が連れ去られ、軍事訓練や洗脳教育を受けさせられていると報告書は記す。
多くの集団墓地も発見されている。そのうちいくつかは南部のバスラ県で見つかったサダム・フセイン時代や1991年のシーア派住民による反政府蜂起の際の集団墓地だ。
現在、イラク政府軍は攻勢を強めており、昨年4月には北部の都市ティクリートを、12月には中西部の要衝ラマディをISISから奪還した。
しかし、今やイラク人はヨーロッパに押し寄せる難民の一大グループだ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によれば、シリア人(56%)とアフガン人(25%)に次いで、イラク人は地中海を渡る難民の10%を占める。今年は早くも3万300人以上のイラク人がヨーロッパにたどり着いている。
「これらのおぞましい数字でさえ、イラク市民が置かれた苦境を正確に反映してはいない」と、国連人権高等弁務官のザイド・フセインは言う。「これらの数字はあからさまな暴力の犠牲者を数えたものだが、他にも無数の人々が食料品や水、医薬品への基本的なアクセスがないために死亡している」
「この報告書は、イラク市民の惨状を白日の下にさらすものであり、イラク難民が何から逃げようとしてヨーロッパなどへ向かっているかを示すものでもある......彼らは母国でこのような恐怖に直面しているのだ」