ネット世界「地球村」で孤立する「紅い皇帝」――第二回世界インターネット大会
以上、10名のトップ級参加者の名前を連ねてから、ようやく「さて、ご来賓の皆さま」に入った。こんな光景は見たことがない。列挙した名前が、「これで最高ランク」だったことは、かえって世界インターネット大会の権威のなさを浮き彫りにし、中国がいかに「世界の言論界」で孤立しているかを露呈した。
フロアーには「シラー」とした空気が流れ、熱気が見られない。
各国には「ネット主権」がある――イデオロギー担当の劉雲山が司会
それもネットビジネスに話を絞るのであれば、事態は違っただろう。中国側発表で2000人からなるという参加者は、ほとんどがビジネスマンだ。
しかし習近平演説で最初に触れたのは「ネット主権」だった。彼は概ね、つぎのように語った:
――13億人の民を誇る中国は、6.7億人という世界最大のネット人口を擁している。国連憲章にも謳われている通り、どの国にも同等の主権原則があるが、これはネット空間においても適用される。われわれは互いに各国が自主的に推し進めるネット管理方式を尊重し、国際ネット空間における統治権を互いに認め合わなければならない。他国の内政に干渉したり、他国の国家安全に危害を与えるようなことをしてはならない。
まるで、言論統制をしている中国に対する国際社会の批判に釘を刺すような冒頭の言葉だ。それを耳にした参加者の間には、またもや「シラー」っという音が聞こえるような「音のないさざめき」が走った。フロアーの人の眼が笑っていない。
つぎに「われわれは法に基づいてネット空間を管理しており、現実社会同様、自由を提唱して秩序を保っている。自由は秩序の目的であり、秩序は自由の保障である」などと述べたが、そのような空々しいことを言われても、世界中の人は中国の言論弾圧を知っており、「万里防火壁(万里のファイアーウォール)」で海外からの「有害情報」を遮断しているのを知っている。
あとは推(お)して知るべし。
5つの原則(世界ネットインフラ建設、ネット上に文化交流プラットホーム構築、ネット経済の核心的発展、サイバーセキュリティーを保障しサイバー空間の軍拡競争に反対、ネットガバナンス体系構築)などが列挙されたが、フロアーが明るく活気づくことはなかった。
AIIB(アジアインフラ投資銀行)や一帯一路(陸と海の新シルクロード)などにより世界を制覇しようとしている「紅い皇帝」の面目は丸つぶれである。
それもそのはず。