終わらない内戦と迫害で増え続ける難民の悲劇
史上最悪の難民危機を数字で見ると。
国を追われて 命懸けで海に出たミャンマーの少数民族ロヒンギャ族 Antara Photo Agency - REUTERS
世界全体で122人に1人が難民──国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が先週、昨年の状況を調査した年次報告書を発表した。
難民数が過去最悪に達した主な原因は、シリアで続く内戦だ。11年に始まった武力衝突により、同国では既に400万人近くが国外へ避難。そのうち95%はレバノンなどの近隣国に逃れている。国内避難民は約760万人に達し、アサド政権と反体制派、テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の戦いに巻き込まれて命を失う危険の中で生きている。
UNHCR報告書の数字から、難民の現状を見てみると──。
5950万人 紛争や迫害によって避難を余議なくされた人の数。04年末は3750万人、13年末には5120万人だったが、昨年は大幅に増加した。世界の人口が72億人だとすると、122人に1人が難民となる計算だ。
1390万人 昨年、新たに難民となった人の数。10年当時の4倍に上っている。
51% 世界の難民に、18歳未満の子供が占める割合。昨年の難民庇護申請件数は170万件だったが、そのうち3万4300件が主たる保護者がいない子供だった。こうした子供たちの大半は、政情が不安定なエリトリア、シリア、ソマリア、アフガニスタンの出身だ。
15カ国 過去5年間に紛争が勃発、あるいは再燃した国の数。内訳は、アフリカ8カ国(コートジボワール、中央アフリカ、リビア、マリ、ナイジェリア北東部、コンゴ民主共和国、南スーダン、ブルンジ)、中東3カ国(シリア、イラク、イエメン)、アジア3カ国(キルギスタン、ミャンマー〔ビルマ〕の一部、パキスタン)、ヨーロッパ1カ国(ウクライナ)だった。