フェリー沈没事故を韓国はなぜ「恥」と感じるか
■急速な経済成長にも原因
欧米では、このように悲劇的な事故と国家威信、恥、自尊心とを結び付けて内省するといった反応は起きないだろう。欧米で惨事が起きた後に続くのは、過失への非難と犠牲者への哀悼、そして安全性や対応策の改善だ。
12年にイタリアで起きた大型客船座礁事件では、乗客を見捨てた船長が過失致死容疑ですぐに逮捕された。05年にハリケーン「カトリーナ」が襲来したアメリカでは、政府の救援の遅れが批判されたが、国民性うんぬんが語られることはなかった。
だが韓国では人災はそれ以上の意味を持つ傾向にある。貧困国からあっという間に豊かなハイテク国家に成長したプライドがあるにもかかわらず、今にも失態を演じるのではないか、まだ力不足なのではという不安が国民の心に刷り込まれている。
急速な成長にも原因があるのかもしれない。アジアの他の新興国と同じく、建物や車は質や安全性を犠牲にしてでも急ピッチで造られ、その過程で安全がおろそかにされた面もある。
94年にソウル聖水大橋の中央部が崩落して30人以上が犠牲になった事故や、ソウルの三豊百貨店が95年に突然崩壊し500人以上が死亡した事故も、その
結果だったかもしれない。
韓国は急成長によって大事故が起きやすい国になり、そのまま90年代に先進国の仲間入りをした。韓国人の中には、分不相応と感じた人もいる。
今はそろそろ胸を張っていい頃なのに、自国を誇る気持ちに確たる自信がないのは相変わらず。米タフツ大学で朝鮮半島を専門とするイ・スンヨン助教はこう言う。「韓国は自分たちが世界の目にどう映っているかを気にし過ぎだ」
From GlobalPost.com特約
[2014年4月29日号掲載]