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暴動ミャンマーに残る宗教対立の炎
民主化で生まれ変わったはずの国にくすぶる暴力
焼け野原 仏教徒と少数派イスラム教徒が衝突したミャンマー中部メイッティーラで(3月21日) Soe Zeya Tun-Reuters
きっかけは、イスラム系商店の店主が、仏教徒2人と口論を始めたことだった。小競り合いは、あっという間に200人が入り乱れる暴動に発展した。
先週、ミャンマー(ビルマ)中部のメイッティーラで起きた暴動では、少なくとも20人が死亡。僧侶も巻き込んで暴徒化した仏教徒はモスク(イスラム礼拝所)などに火を放ち、民家や商店を容赦なく破壊した。地元警察はなすすべがなく、政府はメイッティーラなど4地区に非常事態宣言を出した。
ミャンマーでは、仏教徒とイスラム教徒の間でこれまで以上に緊張が高まっている。昨年には、西部ラカイン州で仏教徒とイスラム系少数民族ロヒンギャが衝突、180人以上の死者と10万人を超す難民が出た。政府はロヒンギャのようなイスラム教徒を迫害し、イスラム教徒を憎悪するよう公然と説法する僧侶も少なくない。仏教徒のビルマ人が占める政府も僧侶の団体も、そうした差別発言を黙認している。
近年、民主化に向けた改革で評価されてきたミャンマーだが、こうした少数派の扱いについては国際社会から非難されている。政府が真剣に対策に乗り出さない限り、今回のような暴動はなくならないだろう。
[2013年4月 2日号掲載]