最新記事

環境

地球の未来を左右する永久凍土

COP18が警告。温暖化で溶けだした永久凍土が放出する二酸化炭素がさらに温暖化を加速させるメカニズム

2012年11月28日(水)15時26分
アレクサンダー・ベサント

氷が消える 近年は冬でも永久凍土の融解が観測されるようになった Stuart McDill-Reuters

 永久凍土の溶解は気候変動を加速させ、温暖化問題を永続的なものにするかもしれない。国連環境計画(UNEP)が今週発表した報告書で警鐘を鳴らした。

 永久凍土の下にある有機物には、空気中の2倍の二酸化炭素が含まれている。永久凍土の溶解が進んで有機物が腐敗し始めると、二酸化炭素が生成されて空気中に放出され、気候変動が加速されるというわけだ。

 UNEPによれば、この永久凍土の問題は深刻度を増している。だがその影響は現在の気候変動予測モデルでは、変動要因の一つとして考慮されていないという。

 永久凍土の溶解は以前は夏季だけに見られた現象だったが、現在は冬季にも見られ、最大で深さ約3メートルまで溶け出していると言われる。

争点は京都議定書の延長

「永久凍土は地球の未来を左右する問題だ。凍っている有機物が溶けて空気中に放出されると、地球温暖化を増幅させるだろう」と、UNEPのアヒム・シュタイナー事務局長は声明を出した。

 報告書はカタールのドーハで開催中の気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)の2日目に公表された。同会議では京都議定書の延長などについて交渉されているが、日本やカナダなどの先進国は延長に反対。白熱した交渉が続いている。

 最初から京都議定書に参加していないアメリカは、温暖化の影響とも指摘される巨大ハリケーン「サンディ」に襲われたばかりだ。サンディは米東海岸に甚大な被害をもたらし、経済的損失も計り知れない。

 国連は永久凍土の問題に関し、各国に監視体制を整えるよう求めた。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ米大統領、次期FRB議長にウォーシュ元理事

ワールド

シリア暫定政府、クルド勢力と停戦合意 統合プロセス

ビジネス

英住宅ローン承認件数、12月は24年6月以来の低水

ビジネス

ユーロ圏GDP、第4四半期は前期比0.3%増 予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 6
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 7
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 10
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 8
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 9
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中