最新記事

リビア

世界に散らばるカダフィ資産はどうなる?

数百億ドルともいわれるカダフィ一族の莫大な資産はリビア国民の手に渡るのか

2011年10月24日(月)16時40分
マイケル・ゴールドファーブ

独裁者の富 カダフィ一族は欧米やアジアの秘密口座などに資産を貯めこんでいたという説も Suhaib Salem-Reuters

 先週、リビアの独裁者ムアマル・カダフィが2カ月にわたる逃亡の末に殺害されたことで、リビアは一つの転換点を迎えた。その一方で、気になるのは彼が残した巨額の富の行方だ。

 石油資源に富んだ小国の独裁者として42年近く君臨したカダフィが築き上げた財産は、数百億ドルにも達するとみられている。

 この大金は一体誰の手に渡るのだろうか。

 各国は今のところ、状況を注意深く見守っている。今年2月、カダフィが反体制派に対する武力制圧を行ったため、国連安保理はリビアへの制裁決議を可決。これを受けてイギリス政府は、カダフィやその一族がイギリス国内で保有する資産を凍結したと発表した。同様にアメリカも約370億ドル、日本も約44億ドルを凍結した。

カダフィが遺書を残していたら

 イギリス政府が凍結したのは、リビアの政府系ファンドであるリビア投資庁(LIA)傘下の資産約190億ドル分。カダフィの財産の「中核」部分と目されている。

 その後、9月初めに開かれたリビアの復興支援国際会議では、凍結した資産のうち150億ドルを解除し、復興にあてることが決まった。しかし、隠し資産を含めカダフィの国外資産が本当はどのくらいあるのかは、いまだに把握できていない。

 カダフィの資産が今後どうなるかは、リビアの情勢次第だ。リビア新政府はおそらく、資産はもともとリビア国民のものだからリビアに返還すべきだと主張するだろう。しかしカダフィが遺書を残し、生き残った家族に資産が渡るようにと記していた可能性もある。

 今後の展開としては、国連決議の元でカダフィ一族の資産を凍結した国々との間で協議が行われる、というのが妥当な線だろう。
 
GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米メーシーズ、第4四半期利益が予想超え 関税影響で

ワールド

ブラジル副大統領、米商務長官と「前向きな会談」 関

ワールド

トランプ氏「日本に米国防衛する必要ない」、日米安保

ワールド

トランプ氏、1カ月半内にサウジ訪問か 1兆ドルの対
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中