最新記事

中国社会

「二人っ子政策」は中国を救うのか

13億人を超える人口を抱えながらも高齢化が深刻化する中国で、脱「一人っ子政策」の動きが活発化

2011年8月22日(月)13時21分
長岡義博(本誌記者)

転換点 30年以上続いてきた中国の一人っ子政策がついに終わるのか China Daily-Reuters

「鉄鋼の生産には計画があるのに、人間の生産には計画がない」と毛沢東が嘆き、鄧小平が79年に一人っ子政策をスタートして30年余り。現在13億4000万人に上る中国の人口増を4億人は抑制したといわれるこの制度が、転換点を迎えている。

 全国で最も人口が多い広東省が中央政府に対し、夫婦どちらかが一人っ子の場合は「二人っ子」を認める政策の許可を申請したのだ。

 中国が一人っ子政策の終了を模索し始めたのは、高齢化による労働力不足や社会保障の負担増に備えるため。現在、60歳以上が中国の全人口に占める割合は13%。国連が14〜21%と定める「高齢社会」は目前だ。

 ただ一人っ子政策はそれほど厳格に運用されていたわけでない。少数民族同士の結婚や、農民同士で1人目が女の子だった場合などは、2人目の出産が認められてきた。最も低い広東省の女性の場合でも、平均出生率は1・7人もある。

 むしろ今後深刻なのは、跡継ぎになる男の子を重視するあまり起きる男女比のアンバランスや、学歴と収入の格差が原因の晩婚化・非婚化だろう。カップルが結婚しなければ、「二人っ子」政策の効果も望めない。

[2011年7月27日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、マスク氏盟友アイザックマン氏をNASA

ビジネス

10月マネタリーベース7.8%減、14カ月連続のマ

ワールド

政府閉鎖さらに1週間続けば空域閉鎖も、米運輸長官が

ワールド

UPS機が離陸後墜落、米ケンタッキー州 負傷者の情
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中