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パレスチナ困窮ガザ住民に広がるハマス嫌い
イスラエルとの関係悪化で仕事もない小さな土地に閉じ込められた住民は「元凶」のハマスに怒りを募らせる
生活苦 ガザ住民の多くは支援に頼らざるを得なくなっている Ibraheem Abu Mustafa-Reuters
イスラエルとパレスチナ自治政府が9月2日にようやく和平交渉を再開したが、それを面白く思わない勢力がいる。07年からガザ地区を実効支配するイスラム原理主義組織ハマスだ。交渉妨害のため迫撃砲をイスラエルに撃ち込み、ヨルダン川西岸地区で8月末に起きたイスラエル人殺害事件についても犯行声明を出した。
宿敵イスラエルと戦い続けるハマスだが、ガザに住むパレスチナ人が彼らを全面的に支持しているわけではない。国連の09年の調査によれば、ガザ住民の45%は職を持たず、85%は援助に頼って生きている。彼らの怒りの矛先はイスラエルだけではなく、経済的な混乱を招いた張本人であるハマスにも向かい始めている。
かつてイスラエルは自国に通勤するガザ住民の越境を認めていた。だがハマスとイスラエルの関係が悪化して暴力の応酬が続くようになると、イスラエルは07年に境界を完全封鎖。ガザ住民はあまりにも働き口が少ないこの小さな土地に閉じ込められた。
経済的困窮の原因は人や物の流れが止まったこと以外にもある。イスラエル人の入植にパレスチナ人が人口増で対抗しようとしたため、ガザは地球上で最も人口増加率の高い地域の1つになった。国連によれば、97〜07年にかけて人口は約40%増加。一方で、その人口を賄う働き口は今のガザにはない。
ハマスは高失業率の原因は住民がイスラエルで働けなくなったことではなく、境界封鎖によって物流が止まったことにあると主張している。だが彼らが強がりを言っていられるのも今だけかもしれない。ガザ住民がハマスに見切りをつけ、より急進的な組織に加わるケースが増えている。
和平交渉再開後もハマスの攻撃が続く現状では、境界封鎖が解除される見通しはない。住民の苦しみは当分終わらないだろう。
[2010年10月 6日号掲載]