男の子は幼児期から「ガラスのハート」 子育ては性別で分けるべきか?
女の子の「観察力」を子育てに活かす
女の子が育てにくいと感じる理由で多いのが「おませ・早熟・口が達者」「自分に似ている・ライバルになっている」というものです。これらは決してマイナス要因ではなく、むしろ言語力、コミュニケーション力、思考力が順調に発達している証であり、親にとっては喜ぶべきことです。
女の子は男の子よりも人間への関心が強く、大人を観察する力が鋭いのです。この女の子の特性を子育てに活かしてください。すなわち子どもにとって最も身近な大人である親が、コミュニケーション(人付き合い)の手本を示してあげると、その通りにマネしてくれます。
母親が笑顔で、明るく、礼儀正しく、人に優しく接していれば、「しつけ」をしなくても、子どももその通りに育ってくれます。子どもは「おままごと」が大好きですが、おままごとを見ていると、その子の「親が」家庭でどのような言動をしているのか一目瞭然です。それほど女の子は親を細かく観察しているのです。
女の子は言葉に対する感性が高いですから、絵本の読み聞かせや、お話をたくさんしてあげると、語彙力とコミュニケーション力を高度に育てることができます。語彙力は思考の土台であり、将来の学力につながっていきます。コミュニケーション力は、周囲との人間関係を良好にすることはもちろん、就職からパートナー選びまで、人生の重要な場面で威力を発揮します。
また女の子の優れた言語吸収能力を「外国語学習」に活かすこともお勧めです。女性は男性に比べて外国語習得が速いことは多くの研究が明らかにしています。ある実験によると、男性は左脳(言語脳)だけで外国語を処理する一方、女性は右脳(イメージ)と左脳の両方を使っていることが分かっています。
つまり女性は「言語情報」だけでなく、声のトーン、表情、ジェスチャーなどの「非言語情報」も駆使して外国語を学んでいるのです。子どもの頃に生きた外国語(英語など)に触れる機会を作ってあげることで、一生使える美しいネイティブ発音を身につけることも可能です。
親の仕事は子どもの特性を伸ばすこと
以上のように、男の子と女の子には、ホルモンの働きや脳の機能など、生物学的な特徴があります。ジェンダーレス時代だから男の子も女の子も同じように育てる、あるいは「女の子だから」「男の子だから」という偏った考え方をしていると、子育てで壁にぶつかることが多くなります。
大切なのは(性別に関わりなく)一人ひとりの子どもに合わせて「子育てのアプローチを変える」ことです。兄弟姉妹であっても、双子であっても、子どもは一人ひとりが異なる性格を持ち、異なる興味や関心を持ち、輝かせるべき特性の芽を持っています。ぜひ子どもの特性(良い面)を見つけて、伸ばす子育てを実践してみてください。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。