親に依存するのは恥ずかしくない? 米国のミレニアル世代が実家に帰る理由
親の過干渉は子どもの自立を妨げる
やりたいことがわからない若者が増えている一因に「親の過干渉」があります。ミレニアル世代の親はアメリカのベビーブーマー世代です。経済的に豊かになり、ゆとりができた親たちは、我が子にも良い大学に進学して社会的成功を収めてもらいたい、そう期待し、子どもの教育に深く関わるようになりました。
犯罪やいじめから守るためと子どもにつきまとい、勉強に集中できるようにと子どもの身の回りのことを全てやってあげ、失敗させないためと子どもの行動に先回りをし、良い成績が取れるようにと子どもの宿題や課題を手伝ってあげる。子どもが自分でできること(すべきこと)に親が関与する場面が多くなると「過干渉」となり、子育てでは非常にまずい結果を生むことになります。
「過干渉」は、子どもの自主性を減退させ、他者への依存心を高め、自立を遅らせます。子どもが自分の頭で考え、行動し、問題解決すべきことを親が先取りしていると、子どもは「自分の力でやってみたい」という自発的な「やる気」を失っていくのです。そして何ごとにも親を頼り、自分のことを自分で決められない、自立できない大人に育ててしまう危険性があるのです。
子どもが自分の意思・意欲でやろうとしていることは(それが親の希望とは違っていても、あるいは失敗するかもしれなくても)自由にやらせてあげる。我が子であっても個性を持つ一人の人格として尊重する。子育てでは当たり前のことが、豊かになったアメリカの「親に」求められているのかもしれません。
[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。