最新記事

米社会

ブリトニー・スピアーズの後見制度はやりすぎでは? 米法律専門家の見解

Britney’s Next Step

2021年06月29日(火)17時46分
モリー・オルムステッド

210706P44_BSP_02.jpg

MARIO ANZUONIーREUTERS

――スピアーズは弁護士に助言されたわけではなく、彼女自身が公表にこだわった。自分の意見をはっきり述べたのは得策だったのか。

裁判所は本人を見て、その能力について独自の評価を下せると思う。マイナス面もあるかもしれないが、一般的に見れば得策だと思う。

――IUDの取り外しを禁じられているという主張は衝撃的だった。後見人が妊娠・出産まで管理するのは一般的なことか。

意思決定能力がありそうな成人の場合には、明らかに異例だ。後見人にその権限を認める裁判所命令が出されて初めて管理が可能になるが、通常の後見人の権限の範囲を超えている。それに妊娠・出産の自由の侵害は、憲法に抵触する可能性がある。

――友人との外出など些細なことについても、自分に決定権がないと語っている。

一部にはそういうケースもあるが、彼女の証言から考えると異例のことだと思う。

――後見制度については、誰が後見人になるかという問題のほかに、人によってどのような違いがあるのか。

スピアーズの場合は完全後見制度が適用されていて、後見人が全ての権限を持つ。これとは別に、後見人が一部の権限しか持たない限定的な後見制度がある。被後見人が一部の決定権を保持するが、出演契約などについては後見人が決定権を持つ。

スピアーズの場合、後見制度の適用が適切だったとしても、なぜ限定的ではなく完全後見制度が適用されたのか。その点がもう1つの問題だ。

――彼女は後見制度の適用期間中、ずっと仕事をしていた。これは一般的なことか。

通常、被後見人は働いていない。相続した資産があって、それを後見人が管理しているというケースが多い。

――働いているのなら、十分な意思決定能力がある証拠と見なせるのではないか。

そう、日常的な活動を行う能力があると考えられる。それにスピアーズの持つ財産は、(相続したものではなく)彼女自身が稼いだものだから、後見人が管理する必要もない。

――彼女は家族を訴えたいと言っているが、可能なのか。

家族が彼女に何らかの危害を加えたか、過失があったという証拠が必要だ。しかし現在の後見人は裁判所の任命を受け、これまでの行動は承認されているから、訴えるのは難しいだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係

ワールド

シリア担当の米外交官が突然解任、クルド系武装組織巡

ビジネス

ロシア財務省、石油価格連動の積立制度復活へ 基準価
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 4

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 5

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 1

    「高慢な態度に失望」...エリザベス女王とヘンリー王…

  • 2

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

  • 3

    エリザベス女王が「誰にも言えなかった」...メーガン…

  • 4

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    アメリカ日本食ブームの立役者、ロッキー青木の財産…

  • 5

    「結婚に反対」だった?...カミラ夫人とエリザベス女…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界が尊敬する日本の小説36

特集:世界が尊敬する日本の小説36

2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは