子どもの自己肯定感を高める、あるアイテムと深い理由
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<海外ドラマでも、ひょっとしたらお隣のデスクにも家族の写真が飾られている光景を目にしたこと、ありますよね? 日本人からすると「海外っぽい!」「おしゃれ!」な感じの映えインテリアの一部になっているほど。でも実は、子供の自己肯定感に関わる深い理由があるのです>
アメリカ人には家族や子どもの写真を立派な額に入れて家中に飾る習慣があります。家の中に留まらず、オフィスの机の上にも卓上額縁に入れた家族写真を飾っておくのは当たり前。家族の写真を飾っていないと、家族関係に何か問題があるのでは?と変な目で見られるのがアメリカ社会です。
この習慣は西洋だけかと思いきや、韓国でも写真スタジオで家族写真を撮り、額縁に入れて飾る習慣が定着してきているようです。家族写真は家族の歴史や親子の絆を目に見える形で表現できることから、子どもの自己肯定感を高める効果があることが多くの研究によって分かってきています。
家に写真を飾ると子どもの自己肯定感が向上する
カナダの心理学者で写真療法(フォトセラピー)の第一人者であるジュディ・ワイザー博士(Judy Weiser)は「家族写真を飾ることで、子どもは、自分が誰で、どこに属しているのかを認識できる」と言います。幸せそうな家族写真を目にする度に、子どもは「自分はこの家族の一員である」と実感できます。この心理的な帰属感が子どもの自己形成に重要な役割を果たすそうです。
米国の心理学者デビッド・クラウス博士(David A. Krauss)は、家族写真の効果について次のように述べています。「家族写真を飾ることで『あなたはこの家族にとって大切な存在です』ですというメッセージを子どもに伝えることができます。家族写真は親から愛され、受け入れられていること、そして家庭が安全で安心できる場所であることを子どもに知らせることができます」
東京理科大学の篠原菊紀教授と東京学芸大学の岩立京子教授の共同研究によって、子どもの写真を飾っている家庭の子どもは「自分は親から大切にされている」「自分には良いところがある」「今の自分が好きだ」「自分には人と同じくらいの能力がある」と答えた割合が、写真を飾っていない家庭の子どもよりも高いことが分かりました。
また同研究で普段写真を飾っていない家庭に3週間子どもの写真を飾ってもらい、その前後の意識変化について調査した所、「自分自身に満足している」と答えた割合が、写真を飾る前の「65%」から、写真を飾った後では「90%」に向上しました。
さらに同研究では「写真を飾る体験」をした小学生と、体験していない小学生の脳の活動を測定しました。その結果「写真を飾る体験」をした子どもは、自分の写真を見た時に「心地良い」と感じる脳の部位が活性化すること、すなわち自己肯定感が高まることが分かったのです。