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不要になった結婚指輪を贈るために「愛の物語」を募集したら......

Finding a Way to Pay It Forward

2021年04月03日(土)13時30分
クリスティーン・ボナビータ(バージニア州在住)

苦しい時期だからこそ希望の物語を分かち合いたいと語るボナビータ Kimberly Anne Photography

<コロナに負けない愛の体験談を募集したらまさかの展開に>

離婚から1年の節目を前にして、私はダイヤモンドのはまった婚約指輪と結婚指輪をどうすべきかと考えるようになった。愛ゆえにもらったものだから、愛を込めて手放すのがふさわしい。さまざまな選択肢について考え抜いた結果、愛を形にしたこの指輪を、愛の物語と引き換えに誰かに贈ることを決断した。

そこで私はSNSで、コロナ禍の時代に愛する人と生きるため、希望や愛情、信頼、笑いとともに困難を乗り越えてきた体験談を書き送ってほしいと呼び掛けた。

私の投稿はあっという間に世界中に広がった。そして心揺さぶる愛の物語を丹念につづった電子メールがたくさん届くようになった。1959年までさかのぼる話もあれば、グローバルな愛の物語もあった。コロナ禍のなかで貫かれた愛も描かれていた。さまざまな国のありとあらゆるエッセンシャルワーカーからもたくさんの便りが届いた。

コロナ禍で離れ離れになった家族が合流するために、何百人ものアメリカ人が国務省と法廷闘争をし、勝利したという手紙には、裁判書類が添えられていた。火事で家を失った人や暴力犯罪や銃乱射事件の被害者は、苦しい体験をつづった。勇気づけられる言葉や笑いとともに真の愛が記録された動画も届いた。

揺るがぬ愛と終わりなき希望に満ちた生を写した何千枚もの写真も送られてきた。そこには家族やパートナーに(時にはリモートで)支えられながら、新型コロナウイルスや癌、依存症と戦う勇敢な人々が写っていた。勇気を奮って体の性を変えつつある人もいれば、誇りを持って国に仕える軍人の写真もあった。

刑務所からの手紙もあった。多くの性的マイノリティーの人はこれまで語ってこなかった苦労を語ってくれた。出産や誕生日、結婚、卒業など人生の節目にまつわる話や、コロナ禍で家族や友人、大切なものを失い悲しむ声もあった。

別れた夫も指輪を提供

世界各地の見も知らぬ人々から、自分のジュエリーを賞品として提供したいという申し出も相次いだ。支え合う輪に加わることができればうれしいという思いからだ。

私は何十組もの里親の元を転々とする幼児期を過ごし、87年にボナビータ家の養子になった。ボナビータとはイタリア語でいい暮らしという意味だが、一家が私に与えてくれたものはまさにそれだった。

両親は私の悲しい過去ではなく、愛に満ちた家族と安全な家、自分の居場所ができたことを喜ぶ6歳半の私自身を見てくれた。強さや決意、忍耐、敬意、謙虚さ、そして何より分け隔てのない愛を体現する2人を手本に私は育った。

私は9.11テロの様子を、ニューヨークの対岸のニュージャージーからつぶさに目撃した。事件で親を失った友達が何人もいたが、そんな彼らがテロで被害に遭った人々を助けようとしているのも見た。

別れた夫は障害のある元軍人で、娘たちのいい父親だ。一緒にさまざまな経験をし、乗り越えてきた絆はこれからも消えないだろう。今回のプロジェクトには彼も結婚指輪を提供してくれた。

こうして私は何千もの希望に満ちた愛の物語の管理者になった。今の望みは、これらの物語を世界の人々と分かち合うすべを見つけることだ。みんなが希望を取り戻し、いつの日か優しさのバトンをつなげるように。

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