免疫機能調整で注目のビタミンD、取り過ぎるくらいがちょうどいい? スイスではDオイルが普及
小瓶に入った液状ビタミンD(D3)の例。1滴のD含有量(濃度)は様々で左より100IU、400IU、500IU(IUは生体に対する効力で表す単位)。必要に応じて1回数滴服用する。手前は1か月分の目安量を1回で取るもので、全容量5mlをコップの水に混ぜて飲む(撮影筆者)
<感染症対策にも効果があるとして注目されるビタミンDとは......>
ビタミンDは免疫機能を調整し、風邪、肺の病気、アレルギー、がんなど様々な病気の予防や症状の軽減に効果が期待されるといわれる。新型コロナウイルスの感染拡大により日本ではビタミンDへの関心が一層高まり、ビタミンDサプリメントの売れ行きが大きく伸びている。
またビタミンDは脳の神経伝達物質とも関連しており、うつ改善にも役立つとされる。
ヨーロッパでは冬の日照時間が短く、日光不足で体内でのビタミンD生成が不足しがちだ。またビタミンDを多く含む魚類を積極的に食べる人もいるとはいえ、やはり全体的には肉食派が多い。気持ちが沈むウィンターブルー(冬季うつ病)になりやすいのも、ビタミンD不足が関係しているとみられている。そのため以前から、ビタミンDサプリメントの人気は高かった。そしていま、日本と同様、ビタミンDが新型コロナウイルスンお感染予防にも効果がありそうだ、ということで一層注目が高まっている。
スプーンで飲む「ビタミンD液」が普及
「気が滅入りそう。日光が恋しい」とは、冬に曇り空が多いスイスの日常会話でよく聞く言葉だ。夏の強い日差しとのギャップも大きく、晴れた空を今日か明日かと待ちわびる人は多い。
「体に十分なビタミンDがあることは大切だということと、冬に適切なビタミンD量を確保するのが難しいということは、スイスでは一般に知られています。そのため、とりわけ冬にビタミンD補給品を購入する人は多いです」
筆者の取材に対しそう答えたのは、薬剤師のユディット・アンベルクさん(以前はスイス連邦内務省保健局に勤務)だ。アンベルクさんは、スイスのドイツ語圏最大の薬局グループTopPharm傘下の薬局を経営している。
日本ではビタミンDサプリメントといえば錠剤やカプセルが普通だが、スイスではオイルやアルコールと混ぜた液体も多い。このタイプは小瓶から数滴をスプーンに垂らすだけで、風味は強くなく飲みやすい。国産のほか、ドイツ(EU)からの輸入品などが入手でき、品質もいろいろだ。その点について、アンベルクさんは以下のように言う。
「ビタミンDの品質には違いがあります。慎重に選ぶ価値は間違いなくありますね。よい製品を購入するためには、それが医薬品として、または少なくとも医療品として登録されているかを確認することです。医薬品・医療品として認定されるためには、一定以上の純度である必要があります。スイスの薬局で提供されるビタミンD補給品は、高品質の要件を満たしています」