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紙とエンピツだけで作る装着型生体センサー

Health Monitoring Tattoos

2020年08月14日(金)17時06分
ダーウィン・マリックデム

特殊な新素材や高度な技術が要らないため開発コストも安くて済む UNIVERSITY OF MISSOURI

<黒鉛の電導性を利用して低コストの健康管理デバイスを実現>

体に装着して心拍数や体温などの生体情報をモニターするウエアラブルデバイス。アップルウオッチのような腕時計型がおなじみだが、ナノ技術を駆使した電子回路を薄いシート状の基板に載せた皮膚貼り付け型のデバイスも、各種開発されている。

そんななか紙に鉛筆で回路を描き、腕などに貼って生体情報をチェックするユニークな技術の研究が進んでいる。

皮膚貼り付け型デバイスの多くは、高度な技術と高コストの新素材を用いて製造されている。それに比べて紙に鉛筆でパターンを描いて貼る「タトゥーシール」方式なら、「低コストで、とても簡単」に製造できると、ミズーリ大学工学部のチェン・ヤン助教は言う(ヤンらの論文は米国科学アカデミー紀要オンライン版に掲載されている)。

研究チームは鉛筆の芯にグラファイト(黒鉛)が90%以上含まれていると、紙に何かを描いた時の摩擦で高い導電性が生じることに着目。生体センサーにはグラファイトの含有率93%の芯が最適であることを突き止めた。

実験で使った紙は、オフィスで使用されるコピー用紙だ。この紙に電子回路を描き、生体適合性の接着剤をスプレーして腕などに貼り付ける。

将来的には、この方法で血圧や体温、脈拍などをチェックして、自宅にいながらにして健康管理ができるようにすることが目標だ。「例えば睡眠障害を抱える人向けに、睡眠レべルをモニターできる生体検査デバイスを描けるようになるだろう」と、ヤンは報道用資料で述べている。

用途はほかにもある。今のようにウイルスが猛威を振るい、ロックダウン(都市封鎖)で研究者が研究所に行けなくなっても、この方式なら鉛筆と紙を使って自宅で手軽にデバイスを開発できる。工学部のオンライン授業での設計実習にも使えそうだ。

生分解性の紙を使用すれば、環境に優しいというメリットもある。研究チームは、この技術を活用した多様なセンサーの開発を目指している。


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