包装ゼロの店、スーパーはレジ袋廃止──ドイツで「プラスチック断ち」広がる
ベルリンの個別包装ゼロの小売り店「オリギナル・ウンフェアパックト」の店内。商品の多くは量り売り (c) Original Unverpackt
<包装ゴミの排出量がヨーロッパで最も多いというドイツで、削減への取り組みが広がってきた>
2019年3月27日、欧州議会は、海洋環境の保護、汚染防止のため、使い捨てプラスチック製品を禁止する法案を承認した。「環境に優しい代替品がある場合」という但し書きがあり、食器やストロー、綿棒など特定の使い捨てプラスチック製品9品目が禁止対象で、2021年までにそれらは市場から消えることになる。
ドイツでは今年の1月1日より、連邦環境省と小売業者団体の取り決めによる新たな「包装法」が施行されており、包装した商品を販売する企業は全て登録とライセンスフィー(登録料)の支払いが義務付けられることとなった。このライセンスフィーの収益は廃棄物の再利用システムの運営に使われるという。
環境への意識が高いと言われているドイツだが、連邦環境省の調べによれば、国民一人当たりの年間包装ゴミ排出量は220.5キログラムでなんとヨーロッパで1位。欧州平均の167.3キログラムを大きく上回っており、その量は年々増えている。独自の法律が必要とされる所以だ。
使い捨てプラスチックを減らす、それぞれの工夫
EUのこのプラスチック製品禁止法で禁止指定があるのはたった9品目だが、ドイツでは既に、プラスチックの包装ゴミを減らそうと考えている消費者は多い。PwCのドイツでの意識調査によれば、回答者の95%が包装ゴミを減らしたいと考えており、8割以上が果物や野菜のプラスチック包装を無駄だと考えているという結果が出た。
この反応を受けて、今年初めからドイツの大半のスーパーマーケットがビニールの有料レジ袋の自主的な廃止を打ち出し、レジ袋はいまや日本のような薄手のものではなく再利用可能なものや紙袋に替わっている。
またディスカウントスーパーマーケットチェーンのAldiでは、まずキュウリを包むビニールを今月から廃止。同じくディスカウントスーパーのLidlは、果物や野菜の使い捨てビニール袋、プラスチック包装の廃止を打ち出し、今年夏から100%リサイクル可能、リユース可能なポリエステルのネット袋に入れる形にするという。
ドイツ自然環境保護連盟(BUND)は、3月6日から4月18日にかけて、「プラスチック断ち」という意味のハッシュタグ #plastikfastenのもと、プラスチックを使わない暮らしのアイデアや体験を広めるよう呼びかけている。
学校でも、1週間のプラスチック断ちを家庭でやってみようという授業が行われているというが、この助けになるのが、いまドイツ各地に増えている「個別包装ゼロ」の店である。
ドイツ、ベルリンには2014年、「オリギナル・ウンフェアパックト」が登場した。個別包装がなく、商品の多くが量り売りで、客が自ら容器を持参したり、再利用可能な器を店で購入するシステム。現在は洗剤や化粧品、菓子類から乾物など750点を取り扱っている。この店をお手本に各地に同様の店が次々と登場している。