最新記事

中国

「中国はクソ」 アリババにオワコンにされたドルチェ&ガッバーナの損失は...?

2018年12月07日(金)17時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Dolce&Gabbana-YouTubeより

<中国人を怒らせたドルチェ&ガッバーナのブランドイメージ失墜が数字として明らかに>

イタリアを代表するファッションブランド、ドルチェ&ガッバーナ(D&G)のキャンペーン動画の炎上騒動から約2週間、中国人の怒りは収まるところを知らない。調査会社ユーガブの世論調査で、怒りが数字として表れた。

問題の動画

DW News-YouTube


ことの発端は、D&GがSNSに投稿した、上海でのショーに向けたカウントダウン動画。内容は動画の通り。中国人モデルが、大きなピザ、パスタといったイタリアンを食べるために、不自由そうに箸を使っているのだが、これがインターネットユーザーの怒りに火をつけた。

「人種差別的」だとして、猛烈な批判にさらされたD&Gは、急遽、11月21日に予定していた上海でのショーをキャンセル。件の動画を削除するなど対応に当たったが、騒動のなか、あるインスタグラムのユーザーが同ブランドの創始者でデザイナーのステファノ・ガッバーナが、排泄物の絵文字を多用しながら「中国はクソのような国」とするメッセージを公開し、D&Gへの非難は加速。ステファノは、アカウントを乗っ取られたと主張しているが、真偽は定かでない。

これを受けて23日、ステファノと同じくブランドの創始者でデザイナーのドメニコ・ドルチェは、自らが出演して謝罪する動画を中国版ツイッターの微博( ウェイボー)アカウントから公開し「对不起(Dui bu qi)」と中国語で謝罪。火消しに奔走しているが、消費者には響いていないようだ。その証拠に中国市場での信用失墜がデータに表れた。

23日に公開された謝罪動画 Dolce&Gabbana-YouTube


アリババが商品削除

香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)によると、巨大EC企業アリババは、自社が運営する通販サイト(Tmall)からD&Gの商品を削除したという。

【参考記事】アマゾンvs.アリババ、戦略比較で分かるアリババの凄さ

ブランドの健全性を測る調査では、D&Gに対する中国の消費者の評価がこれまでのプラス3.3からマイナス11.4に急降下。上海のショーが中止となってから約1週間足らずで、だ。

ユーガブのデータ部門の責任者アーヴィン・ハ氏は「これは非常に大きく、非常に重要な低下だ」とし、中国市場において、D&Gのイメージがこれほどまでに否定的なものとして認識されたのは初めてだと語った。「このダウンがどれくらいの期間続くか、また、中国の消費者に向けてブランドイメージを挽回できるかどうか、まだ分からない」

この一方で、恩恵にあずかった者もいる。D&G同様、イタリアのラグジュアリーブランドであるグッチとプラダは、同調査でそれぞれ3.6ポイント、3.1ポイントアップした。

【参考記事】D&Gが女性歌手に激怒した理由はメラニア!? 
【参考記事】入店40分待ち!? フランスの高級ブランド店に並ぶ中国人観光客の実態

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    脳裏にこびりつく生々しい証言 少女を食い物にした…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    日本初の「女性首相」は生まれる?...「高く硬いガラ…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「指を入れるのが好きじゃない」...フランス発ベスト…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…

  • 5

    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    「指を入れるのが好きじゃない」...フランス発ベスト…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:AIの6原則

特集:AIの6原則

2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?