監視か献身か? 中国の母親、息子の授業に3年間同席で波紋
大学入試の試験会場の外で子供を待つ親たち Stringer-REUTERS
<受けた授業は計3000コマ。わが子への可愛さ余っての行動は、正常なものと言えるのか>
中国のある学校で「献身的すぎる母親」が問題になっている。息子の通う中学校で3年間、寄り添って授業を受けたこの母親の名前はダイ・ジュア。孟母三遷の教えとは言うものの、行き過ぎた孟母行為は「献身」という美徳では済まされなかった。この母親の真似をしないようにと教育専門家は子を持つ親たちに注意喚起した。
湖北省武漢市に住むダイ・ジュアの息子のシャオ・ファは小学校では優秀だったが、中学校に上がると勉強の変化にうまく付いていけていずに成績が落ち始めた。
「新しい環境になったからだと最初は思っていたけれど、のちに先生が息子の授業中の様子を見学しに来るよう、アドバイスを下さったのです」とダイ・ジュアは言う。かくして彼女は息子と一緒に登校するようになったという。
授業を受けているのは子でなく母親
授業に参加して早速、母親は我が子の異変に気付く。息子は授業中に気が散りやすく、他の生徒に比べ集中力に欠けていた。「悪い癖を直すのは簡単ではないし、先生も始終息子に注意を払っているわけにもいきません。だから私が見守ろうと決めました」と話した。
ダイ・ジュアは息子の隣に座って、ひたすら各科目のノートを取り続けた。過去3年間で約3000コマの授業を受けたという。
一方で学校側は、授業での生徒の様子や、学校の運営状況を理解してもらうために授業に同席することを親に勧めていたそうだが、教育評論家はこの対応は推奨すべきではないと言う。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは、「(この行為は)生徒に必要以上にプレッシャーを与えかねない」という四川省の教師ワン・ヤオの指摘を掲載。ダイ・ジュア親子の例を真似しないよう子を持つ親に呼びかけている。
今回の一件では、母親の愛が一線を超えた、と湖南省のポータルサイトRednet.cnは報じている。そして子供への過剰な干渉は子供にとって幸せな学校生活を送る権利を奪いかねない、と警鐘を鳴らした。
金が無ければ命を差しだす
中国では、子供のより良い教育ために過度の犠牲を払う家族が大勢いる。サウスチャイナ・モーニングポストによると、2013年には山東省のある父親が、娘のために約1000万元(1億7000万円)で幼稚園を買収したというニュースが大々的に報じられた。