最新記事

米軍事

オバマ、ISISとの戦いに35億ドル

米予算教書で、新たなテロ対策を担う国務省・国防総省向けの予算が大幅増

2015年2月3日(火)16時55分
ハワード・コプロウィッツ

ロシア封じ込めも ウクライナ東部の独立を支援するロシア対策にも予算を要請した Maxim Shemetov-Reuters

 イスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)の脅威、ウクライナにちょっかいを出すロシア、中米から国境を越えて押し寄せる不法移民の子供たち──。

 こうした問題を抱えるなか、アメリカのバラク・オバマ大統領は16年度の国務省の予算として前年度比6%アップの503億ドルを議会に要請した。このうち35億ドルがISIS対策、10億ドルが中米からの不法移民対策、380億ドル以上が対外援助に使われるという。

 また7500万ドルを「ロシアの侵略を食い止める」ためにウクライナ、モルドバ、グルジアに対する軍事支援として使うと、オバマは述べた。

 国務省によれば、冷戦以来で初めて使用目的を明示して要請された予算だという。同予算は、外国への軍事支援費6億4000万ドルの一部で、他はパキスタン向けに2億6500万ドル、イラクに2億5000万ドル、ヨルダンに5000万ドルなどとなっている。

 中米からの不法移民対策を目的とする10億ドルは、主に保護者を伴わずに国境を越えてくる子供たちを念頭に置いたもの。昨年、何万人もの子供たちが押し寄せたために、国土安全保障省の財政は逼迫していた。

 対ISISとしての35億ドルは、シリア内戦や地域の安定化、人道支援などにも使われる。一方オバマは国防総省向けに史上最大53億ドルの予算を要請。その大部分が、ISISとの戦いなどを念頭に置いた兵器の調達に充てられる見込みだ。

 その他、国務省向けの予算の大半は対外援助に充てられる。国務省の高官によれば、その内訳は380億ドルで、前年度から3%の上昇だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独VW、中国合弁工場閉鎖へ 生産すでに停止=独紙

ビジネス

ECB、ディスインフレ傾向強まれば金融緩和継続を=

ワールド

米中外相がマレーシアで会談、対面での初協議

ワールド

米政府、大規模人員削減加速へ 最高裁の判断受け=関
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中