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宇宙ハッブル宇宙望遠鏡打ち上げから31周年、2万光年離れた大質量星の姿をとらえる
太陽の100万倍も明るく、その質量は太陽質量の70倍、そして寿命はきわめて短い...... NASA, ESA, STScI
<ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げから31周年を記念し、太陽の100万倍も明るく、その質量は太陽質量の70倍のりゅうこつ座AG星の画像が公開された......>
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)は、1990年4月24日にスペースシャトル・ディスカバリーによって打ち上げられ、高度約340マイル(約547キロ)の軌道を周回する宇宙望遠鏡である。打ち上げから31年間で、18万1000回以上、地球を周回し、約4万8000個の天体を150万回以上にわたって観測してきた。
星雲が幅およそ5光年にわたり広がっている
アメリカ航空宇宙局(NASA)は、ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げから31周年を記念し、2万光年離れた南天の星座「りゅうこつ座(竜骨座)」の恒星「りゅうこつ座AG星」の観測画像を公開した。
りゅうこつ座AG星は、銀河系で最も光度の大きい恒星のひとつであり、その周囲にはガスや塵でできた星雲が幅およそ5光年にわたり広がっている。
りゅうこつ座AG星は「高光度青色変光星(LBV)」のひとつだ。太陽の100万倍も明るく、その質量は太陽質量の70倍である。
高光度青色変光星は不安定で、しばらく穏やかに過ごしながら、時折、質量放出を起こす。内側への重力と核融合反応による外側への放射圧がせめぎ合い、星の膨張や収縮をもたらす。放射圧が勝り、星が大きく膨張すると、星の外層の一部が吹き飛んで周囲に物質を放出し、やがて収縮して元の大きさに戻る。
これらの現象は星が崩壊しようとしている時に起きる。高光度青色変光星(LBV)の寿命はわずか数百万年と、太陽の寿命が約100億年であるのに比べて極めて短い。
放出された物質の質量は太陽重量の約10倍
りゅうこつ座AG星を取り巻く巨大な星雲は、約1万年前、その外層の一部が宇宙に吹き飛ばされて形成された。りゅうこつ座AG星から放出された物質の質量は太陽重量の約10倍に相当する。
りゅうこつ座AG星は現在静止しているが、時速67万マイル(100万キロ)の恒星風を吹き出し続けており、りゅうこつ座AG星から放出された物質をこの恒星風が外側に押し出すことで、星雲の内部に空洞が生じている。
ハッブル宇宙望遠鏡の観測画像では、窒素ガスと混じり合った水素ガスが赤く光り、塵の塊がりゅうこつ座AG星の反射光によって青く照らされている。オタマジャクシのような形状で青く映っている部分は、恒星風によって形成された、より密度の濃い塵の塊だ。
りゅうこつ座AG星のような大質量星は、広範囲にわたって影響をもたらすため、天文学者にとって重要である。なかでも高光度青色変光星はめったに見られず、既知のものは50個に満たない。
高光度青色変光星を専門に研究する独ルール大学ボーフム(RUB)のケルスティン・ワイス博士は「高光度青色変光星を研究するのが好きだ。その不安定さに魅了されたからだ。この星は何か奇妙なことをしている」とその魅力を語っている。
Hubble's 31st Anniversary: Giant Star on the Edge of Destruction