対決 AI vs 人間 勝利を手にしたのはどっちだ!?
そんなRASSIに対決を挑むのは、1999年に100万ウォンで投資を開始し、1年で8600万ウォン、その後10年で約70億にしたというカリスマトレーダー"マッハセブン"ことハン・ボンホ氏だ。証券会社が集まって行なわれる模擬投資大会では毎回1位を獲得し、これまで8回優勝している強者である。
対決方法はいたって簡単なものだった。各自1億ウォンの投資金で2020年8月31日から9月25日の4週間自由に投資をする。1か月後利益が高かった者が勝者(税金・手数料含む)となる。ところが、この4週間の間に米国株式市場の下落が起こり、その影響でなんとKOSPI(韓国総合株価指数)がおよそ1カ月ぶりに2300を割るという緊急事態が発生。そんなドラマティックな展開もありつつ、視聴者は対決の行方に引き込まれていった。
AIに有利なはずの高速取引で人間が勝利!?
もちろん、投資とは長期で利益を考えるものではあるため、たった4週間の結果で勝敗を決めてしまうのは安易ではあるが、ひとまずこの対決では人間が勝利に輝いた。4週目の9月25日最終利益率、AIのマイナス0.01%に対してマッハセブン氏の利益率はなんとプラス40.14%も出すことに成功したのだ。
RASSIは序盤に利益率が上がったものの、中盤から伸び悩みをみせた。株式は社会の動きと深く繋がっている。マッハセブン氏によると特に韓国の株式市場は反動が激しいそうだ。そのため、数秒から数分レベルで売買を繰り返して小さな利益を積み重ねるスキャルピング手法で取引しているという。一方RASSIは1億ウォンを50品目で分け200万ウォンずつ投資する分散投資を行った。この違いが勝敗を分けたようだ。
韓国ゴルフブームの火付け役パク・セリがAIと3本勝負
今回の番組を通し、AIとの対決とは言いながらも近未来どのように共存していけるかを考えさせられる場面も多かった。ゴルフ対決では、アメリカからやってきたAIゴルファー「エドリック」と、韓国が誇る元女子プロゴルファーのパク・セリとのホールインワン、ロングドライブ、パッティングの3本勝負が行われた。
AIエドリックは韓国の強風に悩まされたが、結果はロングドライブ以外を制したAIの勝利となった。実はこのAIエドリックは対決用などではなく、本来スランプに陥ったゴルファーに以前の姿を見せて、スランプ脱出させるために作られたトレーニング用システムなのだという。AIの可能性はまだまだ無限に広がっている。
そのほかの結果はどうなったのだろうか? モンタージュ対決では、なんと映画にもなった「梨泰院殺人事件」の実際の犯人であるアーサー・パターソンの声だけを聞き似顔絵作成が行われた。モンタージュ専門家ルイス・ギブソンとAIが声だけで描き上げたモンタージュは両者ともにそっくりで、スタジオのパネラーたちも驚きを隠せなかった。こちらの勝負は甲乙つけがたく引き分けとなった。
最後に、プロファイリング対決では中国と東南アジアの空港で既に導入され、韓国でも警察庁でウソ発見器として試験運営しているというAIが登場。韓国ではすでに有名なベテランプロファイラー、クォン・イルヨンと5人の容疑者の中から真犯人を探し出す対決内容だったが、なんと両者とも見事に犯人を探し当て引き分けに終わった。
勝負は互角、ますます人間に近づくAI
このAI対決、全体を通してみるtとAIと人間は今のところ互角といえるようだ。これまで人工知能について、覚え込ませたデータを整理し形にする能力がすさまじく速いマシンぐらいの認識だった。しかし、今回の作曲対決などを見ると、AIはますます人間に近づいていることを実感した。
この素晴らしく有能なマシーンであるAIを、今後どのように活用していくかが重要でありこれからの課題だろう。あまりにも頭がよすぎるAIたちに、人類が愛想をつかされてしまう日が来るとも限らない。そうならないように、我々も常にアップデートが必要である。