最新記事

マスク

フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実

2021年2月6日(土)15時24分
島沢優子(フリーライター) *東洋経済オンラインからの転載

──なるほど。今現在、第3次感染がなかなか収まらないのは、人々の「コロナ慣れ」があるかと思います。今までかからなかったのだから、大丈夫だろう、と。無論、過度に恐れることはありませんが、今一度「感染の防御」を注意喚起しなくてはいけませんね。

テレビなどを観ていると、出演者がマウスガードをつけています。それを見かけてしまうと「あれでいいんだな」と感染対策の見本と勘違いしてしまうかもしれません。しかし、断言します。マウスガードはマスクの代用にはなりません。エアロゾルを介した感染に対する防御には無力です。感染対策にはなっていません。

──改めてお話をまとめると「うつらないマスク」の最強は不織布マスクなんですね。わが家も今日から不織布に切り替えようと思いますが、ウレタンの着け心地も手放しがたいです。また、不織布だと肌がかぶれるという声もネット上で見かけます。ウレタンの上に不織布をつける二重マスクでもいいでしょうか?

構わないと思います。戸外でウォーキングをするときなど、他人とほぼ会わないときはウレタンや布マスクでいい。というか、堂々とマスクを外していいです。ウレタンマスクを寒さ対策とか、すっぴん隠しの目的で使うことには異論ありません(笑)。それに、つねにマスクをつけなくてはいけないわけではありません。運動や移動などで外を歩いているときは、マスクをポケットに入れてもいい。自転車での移動も同じですね。

「使ったマスクを触らないように」は都市伝説

──よく見かける「鼻マスク」はどうでしょうか? マスクを下げて鼻を出している状態ですね。

理屈からいえば、感染を広げない目的なら鼻マスクの状態でも、万が一ご自分が感染していても、よほどのことがない限り周囲に広げはしません。ただし、防御という意味では、口呼吸でない限り無防備状態と同じで、自分は吸ってしまうので感染者と接触した際に感染してしまうリスクは高いです。せっかく不織布マスクをつけていたとしても、防御になりませんね。

また、「使ったマスクを触らないように」というのは都市伝説です。あれは、咳をしている患者と対峙する医療現場での話で、一般生活の中に落とし込む話ではありません。普通に社会生活をしていてマスクの表面にウイルスがついたりはしません。たとえマスクで捉えたとしてもそれは表面ではなく、マスクの断面のどこかです。

また、一般の人たちに対して「ドアノブに触るな」などというけれど、ドアノブで感染している証拠も出てきてはいません。気になるなら消毒すればいいですが、学校などで椅子などをあんなに拭く必要もありません。

とにかく、うつさない・うつらないマスクを正しくつける。換気をする。そして、密を避ける。これで乗り切ってください。アリバイ気味で的を外した対策に惑わされることなく、また過剰な怖れにおののくことなく、正しく防御することは、自分でやりようがあります。自分の知識と努力でできるのです。

※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら
toyokeizai_logo200.jpg

20250408issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年4月8日号(4月1日発売)は「引きこもるアメリカ」特集。トランプ外交で見捨てられた欧州。プーチンの全面攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

再送-EQT、日本の不動産部門責任者にKJRM幹部

ビジネス

独プラント・設備受注、2月は前年比+8% 予想外の

ビジネス

イオン、米国産と国産のブレンド米を販売へ 10日ご

ワールド

中国、EU産ブランデーの反ダンピング調査を再延長
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中