最新記事
ヘルス

処方薬で治らなかったうつ病 7年苦しんだ精神科医を救ったシンプルな方法とは?

2023年8月25日(金)18時25分
宮島賢也(精神科医・産業医) *PRESIDENT Onlineからの転載

うつのトンネルに光が見えた瞬間

このように食事を変えたところ、2週間であきらかな変化がありました。

まず、やせてきました。当時20代だったというのに、無駄なぜい肉が全身を覆って動くのが億劫でした。それがスッキリし始めて、体が軽くなりました。なんと2カ月で20キロも減量。ダイエットが目的だったわけではありませんが、自分でも驚きました。

その後も、日ごとに体が軽くなるのを感じました。便通がよくなったことも、その一つです。それまでの私は、毎朝便通があるタイプではなかったのですが、毎朝、気持ちのよい便が出るようになりました。

スッキリと目覚められるようになったのも、うれしい変化でした。ぐっすりと眠れずに、朝起きても疲れが抜けずに体のだるさを感じていたのが、気持ちよく起きられるようになったのです。そのため、朝に散歩をするくらい、体が活動しやすくなりました。

体調もよくなって、よく眠れるし、おかげで慢性的な疲れが消えました。すると心までらくになってきて、心配や不安を感じることが少なくなりました。

まずは朝食をバナナに変えてみる

「メンタルは食事が9割」ついでにいうと、それまで心配や不安を紛らわせるために習慣になっていたお酒も、ほどよくコントロールできるようになりました。

こうなったとき、食事を生野菜や果物中心にすること自体が楽しく感じられたのです。そう、久しぶりに「楽しい」という感覚が自分の中によみがえってきました。7年間うつのトンネルに閉じこもっていた私に、忘れていた光が見えたのです。

その後も、どんどん体の調子がよくなり、エネルギーが体に満ちてくることを実感できました。そしてついに、うつを克服することができたのです。

実は、メンタルが不調のときは「あ、変わったかも」と自分の中で気づきを得たら、しめたもの。楽しいと思えるようになったこと、体が軽くなったこと、どんなことでもいいのです。

こうした気づきが得られることでメンタルの不調は一気に快方に向かうケースが多いもの。大切なのは、きっかけを得ることです。たとえば、朝食をバナナにしてみる。こんな小さな変化が大きなきっかけになります。

生き方や働き方はすぐに変えられなくても、食事なら今日から変えらそうではないですか?

宮島賢也(みやじま・けんや)

精神科医・産業医
1973年、神奈川県生まれ。防衛医科大学校卒業。研修中、意欲がわかず精神科を受診、うつ病の診断を受ける。自身が7年間抗うつ剤を服用した経験から、「薬でうつは治らない」と気づき、食生活と考え方、生き方を変え、うつ病を克服する。その経験を踏まえ、患者が自ら悩みに気づき、それを解決する手伝いをする方向へと転換。うつの予防と改善へ導き、人間関係を楽にする「メンタルセラピー」を考案する。著書に『メンタルは食事が9割』(アスコム)など多数。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国CPI、2月は0.7%下落 昨年1月以来のマイ

ワールド

米下院共和党がつなぎ予算案発表 11日採決へ

ビジネス

米FRBは金利政策に慎重であるべき=デイリーSF連

ワールド

米国との建設的な対話に全面的にコミット=ゼレンスキ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 2
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題に...「まさに庶民のマーサ・スチュアート!」
  • 3
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMARS攻撃で訓練中の兵士を「一掃」する衝撃映像を公開
  • 4
    うなり声をあげ、牙をむいて威嚇する犬...その「相手…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 7
    ラオスで熱気球が「着陸に失敗」して木に衝突...絶望…
  • 8
    同盟国にも牙を剥くトランプ大統領が日本には甘い4つ…
  • 9
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 10
    【クイズ】ウランよりも安全...次世代原子炉に期待の…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやステータスではなく「負債」?
  • 3
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 4
    メーガン妃が「菓子袋を詰め替える」衝撃映像が話題…
  • 5
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 6
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 7
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 8
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 9
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 10
    「これがロシア人への復讐だ...」ウクライナ軍がHIMA…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 10
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中