最新記事

朝ドラ

史上最低レベルの視聴率で視聴者が反省会まで 朝ドラ「ちむどんどん」、沖縄県民が挙げた問題点とは

2022年8月8日(月)12時00分
東野りか(フリーランスライター・エディター) *PRESIDENT Onlineからの転載

最後の戦犯は、やはり主人公・暢子

残念ながら、主人公・暢子もA級戦犯と言わざるをえない。前述したように、朝ドラとは、自由奔放ではちゃめちゃな主人公が、夢に向かって成長する姿に変わっていくのが醍醐味だ。他人に対しての思いやりや礼儀や夢をかなえるための強い気持ち、大人の女性としての人間的な魅力など、これらの美質を半年間の間にぎゅっと凝縮することが大前提。それでこそ朝ドラヒロインだが、今のままの暢子では、朝ドラヒロイン失格と言わざるをえない。

例えば、母と再婚の噂がある知人に向かって、日頃の感謝の意も示さず「再婚するつもりがあるのか?」と詰め寄る。名文化人も集うイタリア料理店でイタリアの勉強を全くしない。さらに和彦のことが内心では好きなはずなのに彼の気持ちをあっさり拒否する(しかし後に翻意して結ばれる)。

その迷走ぶりに視聴者が「暢子はいったいどうしたいの?」と謎は深まるばかりだ。

暢子、にいにい、和彦の成長につながる「まっとうな人々」

ここまで作品のネガティブな面を述べてきたが、もちろん、どんな作品(現状では)にも、キラリと光る部分はある。

戦犯キャラのアクが強すぎてかき消されそうになったが、秀逸なキャラクターはたくさんいるのだ。ところが、前出・戦犯3人の前であえなく討ち死に、あるいは遠くに行ってしまったかのようだ。

いい味を出していたと筆者が思うのは、


・「民俗学とはふるさとの思い出を重ねていく勉強です」と教え諭す和彦の父である民俗学者
・人見知りで病弱な比嘉家の末っ子・歌子の才能を見いだし導く音楽教師
・和彦の気持ちを酌み取ってパリに旅立った婚約者
・暢子の姉・良子に恋い焦がれていたのに男らしく身を引いたボンボン

至極まっとうな人々で、視聴者にも受け入れられた感がある。彼ら彼女たちの思いが、ヒロイン暢子と彼女を取り巻く人物たちの成長に今後どこかでつながらないかと期待するばかりである。

東野りか

フリーランスライター・エディター
ファッション系出版社、教育系出版事業会社の編集者を経て、フリーに。以降、国内外の旅、地方活性と起業などを中心に雑誌やウェブで執筆。生涯をかけて追いたいテーマは「あらゆる宗教の建築物」「エリザベス女王」。編集・ライターの傍ら、気まぐれ営業のスナックも開催し、人々の声に耳を傾けている。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍、レバノンで違法に白リン弾使用=国際人

ビジネス

ボーイング、737MAX納入が遅延の恐れ 配線損傷

ビジネス

仏成長率、第1四半期予測0.2─0.3%維持 中東

ビジネス

ベインキャピタル、アジア6号ファンドが目標超の10
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開された皇太子夫妻の写真が話題に
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    人間ダンサーを連れて「圧巻のパフォーマンス」...こ…
  • 8
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 9
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 10
    身長や外見も審査され、軍隊並みの訓練を受ける...中…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中