『応答せよ』名コンビが手掛ける韓国ドラマ『賢い医師生活』、一番の特徴は「キャスティング力」
『賢い医師生活』Netflix独占配信中
<医師である親友5人組と、同僚や患者たちが織り成す病院ヒューマンドラマ。韓国ドラマの新境地を開いたシン・ウォンホ監督は、俳優を個性に合った役柄で起用する。今作では、脳神経外科医を演じたドラマ初出演の女性俳優に注目だ>
1980年代から90年代という近い過去を生きた若者たちの姿を、当時のカルチャーをたっぷり盛り込んで再現した青春ドラマ『応答せよ』シリーズ(2012~15年)。
『賢い医師生活』は、この斬新な作品によって韓国ドラマの新境地を開いたシン・ウォンホ監督と脚本家のイ・ウジョンが手掛けたヒューマンドラマだ。
『応答せよ』シリーズで高校生や大学生、続く『刑務所のルールブック』(2017年)では刑務所の服役囚たちと、親密な関係にある人々の人間模様を描いてきたシン監督が新たな舞台として選んだのは、総合病院だ。
それぞれ違う専門を持つ医師である親友5人組と同僚や患者たちの物語が、シットコムのようなとぼけた笑いを交えながらつづられていく。
同期で大学に入学し、現在は優秀な医師として働く肝胆膵外科医イクジュン(チョ・ジョンソク)、小児外科医ジョンウォン(ユ・ヨンソク)、胸部外科医ジュンワン(チョン・ギョンホ)、産婦人科医ソッキョン(キム・デミョン)、脳神経外科医ソンファ(チョン・ミド)。
ユルジェ病院を経営する財団会長の息子ジョンウォンは、父の死後、VIP病棟の担当医としてこの友人たちを呼び集める。働き盛りの彼らには満足に休む時間もないが、食事やバンド活動を共にしながら忙しい日々を過ごしていく。
バラエティー番組からドラマへと活動の場所を移したシン監督が作るドラマの一番の特徴は、新人や実力派俳優を個性に合った役柄で起用し、魅力を引き出すキャスティング力だ。
『応答せよ1997』では歌手出身のソ・イングクとチョン・ウンジ(Apink)、『応答せよ1994』ではチョンウとユ・ヨンソク、『恋のスケッチ~応答せよ1988~』では、パク・ボゴムやリュ・ジュンヨルがスターの仲間入りを果たした。
『賢い医師生活』ではチョ・ジョンソクやユ・ヨンソクら、既に実績のある男性俳優たちと共に、5人の中心となる女性ソンファ役で、ドラマ初出演のチョン・ミドを起用。舞台での経験豊かな彼女が、「欠点がないのが欠点」と言われる完璧なキャラクターを自然体で演じている。
シン監督のドラマに共通しているのは、人間に対する全幅の信頼だろう。突然、不幸な出来事に見舞われたり、立ち直れないほど悔しい思いをしたりしても、あなたの周りには手を差し伸べてくれる人がきっといる──そんな温かなメッセージが、どのドラマからも感じられる。
当初からシーズン制を念頭に置いて制作された『賢い医師生活』は、今年中にシーズン2の放送が予定されている。
『賢い医師生活』(2020~)
出演/チョ・ジョンソク、ユ・ヨンソク、チョン・ミド
Netflix独占配信中
(※韓国を飛び出し、世界で支持を広げ続ける「進撃の韓流」――本誌5月4日/11日号「韓国ドラマ&映画50」特集より。本誌では、さまざまなジャンルの注目ドラマ20作品を取り上げています)