最新記事

株の基礎知識

初心者が知らない「株価が上がる」たったひとつの理由

2020年12月25日(金)14時40分
岡田禎子 ※株の窓口より転載

JuSun-iStock.

<実は、どの株が上がるかなんて、プロの投資家にもAIにもわからない。株式市場の仕組みは、アイドルのコンサートチケットに置き換えるところから考えるとわかりやすい>

株式投資はよくわからない?

「人生100年時代」という言葉が世間に躍る昨今、そろそろ株式投資を始めないとまずいかも......と漠然と思いながらも、二の足を踏んでいる方も多くいます。そして、その理由は「株式投資ってなんだかよくわからないから」であることが結構あります。

では、何が「よくわからない」のでしょうか? 売買の仕組みがわからない? チャートの読み方がわからない? 財務諸表の見方がわからない? あるいは、どの証券会社を選べばいいかわからない? さまざまな「わからない」が考えられますが、その最たるものは「どの株が上がるかわからない」でしょう。

たしかに、何が入っているのかわからないバケツに手を突っ込むのが怖いように、上がるかどうかもわからない株にお金を注ぎ込むことに恐怖を覚える人も多いでしょう。だからこそ、「株はギャンブルだ」「親に、株だけは絶対にやるなと言われている」という人もいるのだと思います。

でも実は、どの株が上がるかなんて誰にもわからないのです。

もしかすると、経験豊かなベテラン投資家は株価を未来を読めるとか、高度なコンピューターで何百億と運用している機関投資家には敵わない、というふうに思っているかもしれませんが、素人もプロもAIも、誰も「どの株が上がるかわからない」という同じ土俵で勝負をしているのが株式市場なのです。

なぜ株価は上がるのか?

そもそも、なぜ株価は上がるのでしょうか? それは「買いたい人が売りたい人より多いから」の一言に尽きます。非常にシンプルですが、これが真実です。株価が上がる理由は、これ以外にはあり得ません。

アイドルのコンサートチケットで考えてみましょう。人気のアイドルともなれば、一般販売は抽選制。それに外れた人は、インターネットの流通市場へ探しに行きます。そこでは、定価5,000円のチケットが10,000円で転売されています。2倍の値段にもかかわらず、次々と取引が成立していきます。

コンサート主催者が5,000円の価格をつけたチケットが、倍額の10,000円となり、それでも争奪戦となるのはなぜでしょう? それは「大人気のアイドルだから」です。

では、なぜそのアイドルは人気があるのでしょう? 「顔が可愛いから」「歌が素晴らしいから」「MCが面白いから」「握手会があるから」......などなど、人気の理由はファンの数ほど考えられます。でも、とにかく「人気だから」→「チケット枚数より買いたい人が多いから」→「チケットが高くなる」のです。

人気度が上がれば上がるほどチケット価格は上昇していきます。もしこれが引退コンサートのチケットなら、プレミアム化して、さらに価格が上がるでしょう。転売目的で買う人も参戦して過熱化し、激しい争奪戦はコンサート直前まで続きます。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日本の不動産大手、インド進出活発化 賃料上昇や建設

ワールド

G20は経済成長重視に回帰、来年議長国の米が方針

ワールド

英利下げ支持には雇用と消費の軟化必要=グリーン中銀

ワールド

「麻薬運搬船」への複数回攻撃はヘグセス長官が承認=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 9
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 10
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中