日本株を影で大量保有 日銀のETF買入れが株価に与える影響とは?
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<日銀が購入しているのは個別株ではなく「上場投資信託(ETF)」。市場株式の5.5%を実質的に日銀が保有しており、その動向を知っておくことが大切だ>
市場への影響度合いを高める日銀
株式投資においては、各投資主体の動向を頭の片隅に捉えておくことも大切になります。投資主体の動向が株価のうねりを伴う場合があるからです。
近年の投資主体比率をみてみると、海外投資家がおよそ70%、個人25%、法人10%、証券会社1%程度というところで推移しています。海外投資家の比率が圧倒的に高く、海外から日本市場がどのように判断されているかが近年の株価動向に大きく影響を与えていることがうかがえます。
そんな投資主体の中でも注目したいのは日本銀行です。
■日銀はどれくらい株を保有しているのか
日銀が購入しているのは個別株ではなく「上場投資信託(ETF)」です。その名のとおり、一般の投資信託と異なり、ETFは市場に上場している投資信託で、誰でも自由に購入できるものです。これを日銀は、信託銀行に委託して購入しています。
では、日銀は現在どの程度のETFを保有しているのでしょうか。買付残高は、日銀が決算ごとに公表しているバランスシートの内訳で確認することができます。2019年3月末の決算資料から確認できるETF残高は25兆円、2020年3月末では約30兆円に達しています。
この2020年3月末の全市場における株式時価総額は548兆円ですが、そのうち30兆円を日銀が保有しているわけなので、実に、市場株式の5.5%を実質的に日銀が保有していることになります。
日銀はETFの購入を信託銀行へ委託しているため、名目上の投資主体は信託銀行(法人)となります。もちろん、日銀が株主として表記されることも一切ありません。そのため、「影なる存在」として市場への影響度合いを着実に高めている投資主体、それが日銀なのです。
なぜ日銀は株を購入するのか?
日銀によるETF購入は、1980年代後半のバブル崩壊後のデフレ脱却を目的に始動し、以後、形を変えながら未だに継続している、金融緩和政策の一環として行われているものです。
そこに至る経緯をたどってみましょう。
■バブル崩壊からゼロ金利・国債買入れへ
戦後復興を経て成長を続けていた日本経済でしたが、1990年代を目の前にバブルが崩壊。社会は一気に消費抑制に傾き、デフレが到来します。戦後初のピンチといえる状況に、中央銀行である日銀が金融政策を掲げ、動き出すこととなりました。
当初は、金融政策手法としてはオーソドックスな、短期金利を下げる方法が採用されました。しかし、デフレ状態からの回復の兆しはなかなかみえてきません。金利は段階的に下げられ、ついに1999年には実質的な「ゼロ金利政策」へ突入します。