日本のビジネススクールは何のためにあるのか?
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<一方で、MBAを取っても欧米ほどキャリアアップにつながらないというビジネス界の問題があり、他方で、学部卒業で企業経験を経ただけで大学教員になれるという、日本特有のガラパゴス的な悪しき慣習がある>
今や日本企業は、グローバル市場で勝ち抜くための有能な人材を確保しなければ、欧米・アジアのグローバル企業と対等に戦うことができない時代になってきている。ビジネス戦略・戦術を十分に理解・把握した上で、市場分析・製品開発・販売戦略を構築・遂行していくことが日本企業の経営陣には必須事項として求められているのだ。
そうした学びの場として活用されているのが、社会人大学院の中でもビジネス戦略を教える経営大学院=ビジネススクールである。欧米の企業ではそうしたビジネススクールの出身者がビジネス界のリーダーとして活躍し、成功を収めている。
日本でも、1978年に慶応義塾大学が経営管理研究科という形で、日本で初めてのビジネススクールを開設している(修士課程が認可を受けた年)が、現在では、国立大学法人・公立大学法人の大学、私立大学を含めて32の大学がビジネススクールを開講している。
その他の社会人大学院としては、法科大学院が45校、教職大学院が45校、その他12校となっていて、日本の社会人大学院の数は平成28年現在では117校となっている(文部科学省・中央教育審議会大学分科会大学院部会専門職大学院ワーキンググループ部会資料 平成28年より。1つの大学で複数の専攻を設置しているケースがあるため、各分野の大学院数の合計は全大学院数と一致しない)。
欧米ではグローバルな人的ネットワークにつながる
これら日本の社会人大学院と比べて、歴史も大学数も圧倒的に多いのが欧米の大学であるが、なぜ欧米のビジネスパーソンが高額の授業料を払ってまで、こうしたビジネススクールに行くのかについては、昨年3月に寄稿した「日本のビジネススクールに行く価値があるのか?」で触れておいた。
2年間で750万~850万円の授業料を支払っても、名門ビジネススクールを修了して企業に雇用されれば、1400万~2000万円の高額年収が得られるからだ。
つまり、教育投資がビジネス投資になるのである。ハーバード・ビジネススクール(ハーバード大学経営大学院)、ウォートン・スクール(ペンシルベニア大学経営大学院)、ブース・ビジネススクール(シカゴ大学経営大学院)などがビジネスパーソンのターゲットとなるビジネススクールだ。
こうした有数のビジネススクールでは、最先端の経営戦略を学べるだけでなく、世界各国から集まってきたビジネスエリート等の若手経営者と共に学ぶことで、グローバルな人的ネットワークを広げ、自らのビジネスを成功に導くことができる。
また、各国政府機関の若手官僚が留学していることも多く、彼らとの交流はもちろんのこと、世界各国の実業家の御曹司等と友人になることが多いようだ。ただし、これはあくまでも、企業のごく一部のエリートの人たちである。