最新記事
米経済

好調な米国株の今後の行方は?...大統領選や上昇の偏りが波乱要因に

2024年7月2日(火)13時24分
ニューヨーク

米国株は今年上半期に好調だったが、年後半は大統領選や米連邦準備理事会(FRB)の政策を巡る不透明感に加え、一部の巨大ハイテク株に上昇が集中しているという問題もあり、地合いが厳しくなりかねないと投資家は予想している。写真はニューヨークで2019年9月撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid)

米国株は今年上半期に好調だったが、年後半は大統領選や米連邦準備理事会(FRB)の政策を巡る不透明感に加え、一部の巨大ハイテク株に上昇が集中しているという問題もあり、地合いが厳しくなりかねないと投資家は予想している。

米経済と企業収益の強さや人工知能(AI)を巡る熱狂を背景に、S&P500種総合指数は上半期に15%上昇した。


 

歴史を振り返ると、上半期の勢いは下半期も続く可能性が高い。1944年以来の選挙年の市場についてCFRAが行った調査では、上半期に上昇した相場が下半期に一段高となる確率は86%だった。

ただ、今年の下半期は険しい道のりになるかも知れない。投資家は米大統領選を注視しており、JPモルガンが最近行った調査では、投資家は国内外の政治リスクを最大の波乱要因に挙げた。

足元では、27日に行われた大統領選に向けた討論会でバイデン大統領よりもトランプ前大統領の方が優勢だったことなどに反応し、米国株やドルは上昇した。

一部銘柄への集中

エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン・ドットコムなど、一握りのハイテク銘柄に上昇が集中していることにも、投資家は懸念を募らせている。S&Pダウ・ジョーンズ・インダイシズのアナリストによると、半導体大手エヌビディアは上半期に150%上昇し、S&P500のトータルリターン(総合収益)の約3分の1を占めた。

時価総額に応じて加重平均しないS&P500均等ウェイト指数を見ると、上半期の上昇率はわずか4%だ。

ウェドブッシュ・セキュリティーズのシニアバイスプレジデント、スティーブン・マッソッカ氏は「これらの銘柄(巨大ハイテク株)に皆が引き寄せられるのは理解できる。だが、少し椅子取りゲームのようだ。音楽が止まれば問題が起こるだろう」と話し、状況が変わって投資家が一斉にこれら銘柄から逃げ出せば市場が不安定化しかねないとの懸念を示した。

また、LSEGのデータによるとハイテク銘柄の多いナスダック100指数は、1年後の予想利益に基づく株価収益率(PER)が26倍と、2年前の20倍から大幅に上昇している。

経済成長とFRB

大半の投資家は、インフレが沈静化して経済成長が減速する兆しを歓迎している。こういう状況だとFRBが利下げを行う可能性が高まるからだ。もっとも、景気減速がさらに顕著になった場合には、これまでの高金利政策が景気を強く圧迫しているとの懸念が生じるかもしれない。

過去の利下げサイクルに対する市場の反応は、利下げが比較的順調な経済状況の中で行われるか、あるいは急減速に対応して行われるかによって、おおむね決まっている。

アリアンツが1980年代以来のデータを調査したところ、S&P500は利下げ開始後の1年間で平均5.6%上昇しているが、厳しい経済環境の中で利下げが実施された時の相場はこれよりずっと悪かった。例えば2000年のドットコム・バブル崩壊の前後に始まった利下げサイクルでは、S&P500は1年後に13.5%下げていた。




[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

キューバ、米と協議開始 石油封鎖の影響深刻化

ワールド

イラン新指導者、負傷で姿見せない公算 外見損傷か=

ビジネス

米個人消費1月堅調、PCE価格指数前年比2.8%上

ワールド

トランプ氏、プーチン氏のイラン支援を示唆 ドローン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 2
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 7
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 8
    北極海で見つかった「400年近く生きる生物」がSNSで…
  • 9
    謎すぎる...戦争嫌いのMAGAがなぜイラン攻撃を支持す…
  • 10
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中