最新記事
アメリカ経済

ChatGPTなどAIがアメリカの景気後退を阻止? 熱い期待とリスク

2023年5月22日(月)13時11分
ロイター

ドイツ銀行のストラテジスト、ジム・リード氏は「チャットGPTは米リセッションを阻止するか」という見出しのノートに「AIが世界を変えるという強固な考えを持っている」と記した。

確かにAIを巡る熱狂によって、幾つかの銘柄は大きく値上がりしている。例えば、米国株で時価総額第2位のマイクロソフトの年初来上昇率は32%。同社はチャットGPTの生みの親であるオープンAIへの出資や、自社の検索エンジンBingとAIを融合させた取り組みで話題をさらってきた。

時価総額第5位のエヌビディアも、同社の半導体がAIブームで中核的な存在となっているだけに、株価は年初来で110%も跳ね上がった。

バブルに弱かった歴史

ただ、同時に世の中を一変させる可能性を秘めた技術を有する企業の株でさえ、バブルには脆弱なことを歴史が証明している。1990年代後半には、ドット・コム銘柄への投資熱が株価を押し上げたが、数年後には暴落が訪れ、残ったインターネット関連企業はごくわずかにとどまった。

バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチが19日公表したリポートによると、AI関連株は、過去数十年間で見られたようなインターネット関連株やビットコインなどの大きな価格変動と比べても、「ミニバブル」の様相を呈しているという。

それでも多くの投資家は、AIは単なる一過性の流行ではないと言い切る。

ベーカー・アベニュー・ウエルス・マネジメントのチーフストラテジスト、キング・リップ氏は、AIの開発と発展を「ゲームチェンジャー」と呼び、同社はマイクロソフトやエヌビディア、アルファベットに投資している。

同氏は「生成AIがこれらの企業の利益をどのように伸ばしていくかに関する道筋は、かなり明確だ」と強調した。

(Lewis Krauskopf記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

小泉防衛相、中国艦から訓練の連絡あったと説明 「規

ワールド

栄養失調のガザの子ども、停戦後も「衝撃的な人数」=

ビジネス

市場動向、注意深く見守っている=高市首相

ビジネス

米電力消費、今年と来年は過去最高更新 米当局予測
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 8
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中