最新記事
自己啓発

「ウサギの角は何本ある?」 答えで判明、仕事ができる人できない人の決定的な違い

2023年3月20日(月)12時36分
大嶋祥誉(センジュヒューマンデザインワークス代表取締役、エグゼクティブコーチ、人材戦略コンサルタント) *PRESIDENT Onlineからの転載

感情コントロールの回路を完成させる

6.「問題」と「感情」を分ける

「事実と意見の分離」を発展させたものが「問題と感情の分離」です。たとえば部下の仕事が遅くて締め切りを守れなかったとします。「締め切りを守らないなんて社会人として失格だ!」と怒るのは感情です。

そうではなく、「締め切りを守らなかった」という問題と、「そのことが許せない」という感情に分けて、問題は問題として、「なぜ彼は締め切りが守れなかったのか?」と冷静に対処する。

感情が湧き起こるのは致し方ないのですが、それによって大事な「問題」を見過ごすことがないようにすべきです。

「事実と意見」を混同しない、さらに「問題と感情」を混同しない。それらを分離することで、感情コントロールの回路が次第にできあがってくるのです。

「ウサギの角は何本あるか」

7.「真の問題」か「疑似問題」かを分ける

あなたが思い悩み、感情を乱している問題は、はたして本当に悩むべき問題なのでしょうか? 以前、私が必要以上に上司の顔色を窺っていた話も、悩まなくてもいいところで悩んでいたわけです。

人は得てして、本当の問題ではないことに心を砕いてしまいがちです。本当の問題らしく見えて、そのじつ取り組むべき問題ではないものを、あえてここでは「疑似問題」と呼びます。

じつは本来の意味での「疑似問題」とは、問いの仮定や前提が間違っているため、答えがそもそも存在しない問題を言います。

たとえば「ウサギの角は何本あるか?」という問いは、ウサギには角がないので意味がありません。このように前提がそもそも間違っている問題を、「疑似問題」と呼びます。

しかし、ここではそこまで厳密な意味ではなく、「いかにも問題に思えるけれども、本質的な問題ではない」という意味で使っています。その意味での「疑似問題」が、今の世の中には溢れているのです。

「ジム選び」の前に「人間ドック」と考えられるか

マッキンゼーで学んだ最高に効率のいい働き方たとえば「ダイエットしたいのだけどAとBのどちらのジムがいいか」という問いが、あったとしましょう。しかし、これは本質的な問いでしょうか? ダイエットしたい、すなわちその目的は「体重を落としたい」、もっと言えば「健康になりたい」ということでしょう。

そうすると、本当に大事な問題は「健康になるためには何をすればいいか?」ということです。すると、その解答は、人間ドックで徹底的に見てもらうことであったり、食事に気を使うことであるかもしれません。

日常の仕事の中でも、疑似問題に惑わされることがあります。企画書をつくるのに、やたらに体裁にこだわる人がいます。パワーポイントで、何枚もチャートをつくり込んでしまいます。

しかし本当に大事なのは体裁ではなく、企画の内容です。ところがきれいに図解して、何ページかのボリュームが必要だと考えてしまう。内容より形にこだわってしまう。結構ありがちだと思いませんか?

これも一種の疑似問題と言えるかもしれません。本来エネルギーを割かなくていいことに割いてしまう。それによって悩んだり感情的になってしまう。

疑似問題か、それとも真の問題かを見極め、分けるにはどうすればいいでしょうか? それは前にも挙げた、仕事の目的をしっかり持つこと。それに照らし合わせることで、その問題が本当の問題であるかどうかが分かるはずです。

大嶋祥誉(おおしま・さちよ)

センジュヒューマンデザインワークス代表取締役、エグゼクティブコーチ、人材戦略コンサルタント
米国デューク大学Fuqua School of Business MBA取得。シカゴ大学大学院修了(MA)。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ワトソンワイアットなどの外資系コンサルティング会社や日系シンクタンクなどで経営、人材戦略へのコンサルティングに携わる。2002年に独立し、現在までに2000チーム以上のチームビルディング、組織変革コンサルティング、経営者や役員へのエグゼクティブコーチングを行う。


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ガザ停戦が発効、人質名簿巡る混乱で遅延 15カ月に

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 2
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 9
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中