ビットコインで年金積み立て? プロが資産形成に仮想通貨を組み込む納得の理由
INVESTING IN CRYPTO
専門家によれば、ビットコインその他の仮想通貨の不安定な性質は、その本質的な価値ではなく、他の人が信じる価値によって価格が大きく左右されることに由来する。「(仮想通貨での)リターンは、将来の買い手が自分の購入価格よりも高い価格を支払うだろうという希望的観測にのみ基づいている」と言うのは、ビスタ・キャピタル・パートナーズのロブ・グリーンマンだ。
全ての投資には希望の要素が含まれるが、株や債券、不動産などでは利息や配当などでも稼げるし、現物や政府の裏付けもある。
一方、歴史の浅い仮想通貨の場合は、経済環境の変化による値動きを予測するのに必要な過去データの蓄積が少ない。金利が上昇し、インフレが進行している現在の状況も、仮想通貨にとっては未体験ゾーンだ。
だから仮想通貨に投資するなら、瞬時に多額の資金を失う可能性もあることを覚悟するべきだ。専門家は仮想通貨への投資を「投機」として扱うよう注意を促している。経済的にも精神的にも、「失ってもいい額」だけを投資するのがいい。
資産運用の多様化には有効
前出のエデルマンによれば、投資顧問会社の半数近くは現にビットコインを保有している。ただし、高値で売り抜けて差益を稼ごうというのではない。むしろ、変動の激しい仮想通貨をポートフォリオに組み込むことが全体のリスク軽減に役立つと考えているようだ。仮想通貨の歴史はまだ短いが、その値動きは株や債券その他の資産と連動していない。
だから、運用先の分散という点では有効なツールかもしれない。「分散投資の一部に組み込めばリターンを増やし、リスクを下げることができる」と言うのは、アドバンス・ピリオドのジム・シャガワット。タイミングがよければリターンが劇的に増える可能性もあるという。
株式が60%、債券が40%の典型的な年金プランの場合、1年の平均リターンは7%程度だ。しかし株式を59%にして、1%を仮想通貨などに回したらどうか。「ビットコインが1500%も上昇したときのような大きな波が来れば、年間のトータルリターンは22%になる」とシャガワットは言う。「仮にビットコインの価値がゼロになっても、株・債券・仮想通貨の比率が59対40対1なら、まだ6%のリターンが残る」
401Kなどの年金プランを通じたデジタル資産への投資は、仮想通貨固有の変動性を平準化する方法としても有効とされる。
また高値の仮想通貨に投資して、次の日に暴落するのが不安なら、定期的に少額を購入して変動リスクを下げる方法もある。