最新記事

自動車

中国で最も売れたEVのルーツは「車いす」

2022年6月2日(木)16時45分
高口康太(ジャーナリスト)
宏光MINIEV

世界最大の市場である中国で最も売れたEV「宏光MINIEV」 YU FANGPING-FUTURE PUBLISHING/GETTY IMAGES

<世界最大のEV(電気自動車)市場、中国でいま人気の小型EVは、先進国ではあり得ないところから発展していった>

世界最大のEV(電気自動車)市場、それが中国だ。昨年は全世界の販売台数の6割以上の291万台が売れた。

その原動力となる小型EVは、実は先進国ではあり得ないようなルーツを持つ。「上に政策あらば下に対策あり」の中国人の知恵の結晶だ。

中国で昨年テスラを抑えて車種別販売台数トップに立った「宏光MINIEV」。航続距離は公称100キロしかなく、エアコンを付けてもほんのり冷える程度と心もとない。

それでも3万元(約60万円)弱の激安価格を考えると、通勤や子供の送迎には十分。ヒットの後を追って、続々と小型EVが発売されている。

これらの小型EVには前身がある。

それが低速EVで、ぱっと見は車そのものだが、安全基準など車の要件を満たせず、「トラクター」や「電動車いす」という無理のある名目で販売されていた。使用禁止の地域も多いグレーゾーンの存在だが、支持者は多い。

電動自転車が社会インフラとなっている中国で「もっと荷物を積みたいから三輪に」「安定させたいから四輪に」とニーズに応じてタイヤを増やし、低速EVは誕生した。

そのDNAを引き継ぎながら安全基準を満たすことでイノベーションが生まれている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アクティビスト、世界で動きが活発化 第1四半期は米

ワールド

フィンランドも対人地雷禁止条約離脱へ、ロシアの脅威

ワールド

米USTR、インドの貿易障壁に懸念 輸入要件「煩雑

ワールド

米議会上院の調査小委員会、メタの中国市場参入問題を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中