航空機リース各社、ロシアで続々損失 保険会社と激しい戦いへ
法律の専門家によると、最も大きな問題は、ロシアの債務不履行にまつわる保険金支払い「事由」の件数で、それに関する判断が保険金額を大きく動かす可能性がある。
ドバイに本拠を置くDAEキャピタルは保険金を回収する見込みであり、5億3800万ドルの減損処理は「対応可能」だという。フィロズ・タラポアCEOは「ただ時間だけは掛かる」と語った。
盗んではいない
数々のリース会社が減損処理を実施し、保険金を請求しているが、ロシアの民間航空会社と何らかの接触を保っていると明かすリース会社も多い。ロシアの航空会社は近年、欧米リース会社への依存を強め、支払いも滞りなく行ってきた。
いずれのリース会社も、制裁は厳格に守っていると主張する。
ウィリス・リース・ファイナンスのダン・コールチャー最高商務責任者(CCO)は「各社そろって同じ戦略を進めている。保険請求を行いつつ、航空会社と協議している。しかしロシアの航空会社に許されている行為は多くない」と言う。
航空機を借りているロシアの航空業界は、ウクライナ侵攻前は魅力的な市場だった。リース会社によると、航空会社は将来のビジネスに対して完全に扉を閉じることは避けたいが、ロシア政府から関係を断つように強い圧力を受けている。
エア・リース・コープのジョン・プルーガーCEOによると、ロシアの航空会社の多くは電話でこう言ってくる「分かってくれ、われわれは詐欺師ではない。あなたがたの航空機を盗んではいない。リース料を支払いたいのだが、われわれは両方とも身動きが取れなくなっている」。
航空会社関係者の中には携帯電話を避け、プリペイド式電話を使ったり、社から離れた場所で会合を持つ者もいる。
「誰が聞いているか分からないと懸念しているのは明白だ。そして、その恐怖は危機が進むにつれてエスカレートしていった」とプルーガー氏。対話は続いているが、「より慎重になっている」という。
専門家は保険金請求合戦でリスクに対する姿勢が全般的に悪化するのではないかと危惧している。
「もっと大きな問題は、頭文字がCのアジアのはるかに大きな国で同じことが起こるかもしれないということだ」と話すのはワールド・スター・エビエーションのパートナー、マーク・アイアキー氏だ。「業界全体に対するショックはもっと大きいだろう。しかし、その可能性は十分にある」と注意を促した。
(Padraic Halpin記者、Conor Humphries記者、Tim Hepher記者)
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