最新記事

自動車

日本のEV先進エリアは首都圏ではなく地方都市 中国のバカ売れ人気車が教える普及のカギとは

2022年2月28日(月)19時11分
山崎 明(マーケティング/ブランディングコンサルタント) *PRESIDENT Onlineからの転載

自宅の駐車場で充電できなければ急速充電スタンドを使わざるを得ないが、急速充電スタンドでの充電費用は意外と高価で、EVの経済的ベネフィットは少なくなる。また現在主流の40~50kWh程度の充電器では、30分の充電で100km程度の距離分しか充電できない。

都市生活者が車で出かける目的はゴルフや観光地へのドライブ、というケースも多いだろう。となると航続距離100kmではまったく足らず、途中での充電が必須となってしまうだろう。また都市生活者は勤め人が主だろうから車は週末しか使わないという人も多いのではないか。

最新のEVはバッテリー保護のために駐車中も温度管理している(寒いときは暖め、暑いときは冷やす)ので、乗らなくてもバッテリーに蓄えた電気を消耗する。テスラの場合1日で1~4%消費するといわれている。テスラユーザーのブログによれば、6日間で走行可能距離が272kmから248kmに減少したという。

乗らなくても1週間放置すると1割ほど電気は減ってしまうのだ。1カ月乗らなかったら半減である。つまりマンション居住の都市生活者にとってEVは非常に使いづらく、経済的ベネフィットもないものなのである。

中国で最も売れているEVとは

このように考えるとある疑問が生じる。

今日本で売れているEVは日産リーフとテスラだ。安いほうのリーフでも最低330万円もする。テスラは450万円以上だ。地方の高齢者というよりは、都市部の比較的豊かな層向けの価格帯である。潜在需要と供給がまったくかみ合っていない。

テスラは都市部で売れているが、これは「先進層・環境重視層であること」を表現するためのプレミアムブランド品としての需要としか考えられない。

ここで頭をよぎるのは、中国のEV市場である。

中国はEVベンチャー企業がたくさんあり、テスラも巨大な工場を持っている(現在日本で売られているテスラ・モデル3は中国製である)。中国ではテスラも売れているし、新興メーカーのテスラを意識した高性能EVも売れている。

しかし2位以下を引き離して圧倒的1位で売れているモデルがある。上汽通用五菱汽車(ウーリン)の宏光(ホンガン)MINI EVである。2021年の販売台数はなんと42万4138台。2位のテスラ・モデルYが16万9547台だから、その多さがわかるだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長人選を来週発表

ワールド

プーチン氏、キーウ攻撃1週間停止要請に同意 寒波で

ワールド

EU、イラン革命防衛隊をテロ組織に指定 デモ弾圧で

ビジネス

米キャタピラー、25年10―12月期は18%増収 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    致死率高い「ニパウイルス」、インドで2人感染...東…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 8
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中