最新記事

中国経済

恒大集団の本拠地・深圳で不動産仲介業者が苦境 市場冷え稼ぎ激減

2021年12月5日(日)11時33分

深圳の10月の新築住宅価格は前月比で0.2%下落し、今年に入って初めて下がったが、これは全国平均と同じ。一方、国内の2級都市の一部で起きたような、小幅だが持続的な価格下落が生じるかどうかはまだはっきりしていない。

ハイテク都市である深圳の経済規模は、同じ巨大都市の上海とほぼ同程度だが、土地の面積は上海の3分の1しかなく、マンションへの需要は根強い。この点は深圳にとって有利だ。

「買い手は中国恒大やその影響を心配しているが、深圳の買い手は他の不動産開発業者が必要に応じて開発計画を仕上げると分かっている」とタンさん。

投資対象でなくなる不動産

一方、今回の規制強化とそれに伴う不動産市場の冷え込みで、投機的な不動産購入には終止符が打たれるかもしれない。中国は以前から投資手段が限られ、不動産はしばしば投機の対象となってきた。

投資業界で働くリサ・リーさん(30)は「親の世代は目をつぶって適当な物件に投資しても大きなリターンが得られた。ばくちが打てた」と語る。

最近小さなアパートを買ったリーさんだが、親のような買い方は怖くてできない。「私たちの世代にはそんなことはできない。面倒に巻き込まれることになるから」

しかし不動産仲介業のタンさんにとって、そんな正論は慰めにもならない。「彼女を見つけるには貯金が必要だし、故郷の母親を援助している」のが現実だ。タンさんは現在、転職を考えている。

(David Kirton記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

国内超長期債の増加幅は100億円程度、金利上昇で抑

ワールド

ウクライナ、中国企業3社を制裁リストに追加

ワールド

トランプ米大統領の優先事項「はっきりしてきた」=赤

ワールド

イスラエル、ガザで40カ所空爆 少なくとも30人死
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 6
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 7
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 8
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 9
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 10
    トランプに弱腰の民主党で、怒れる若手が仕掛ける現…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中