最新記事

経営

中小企業のバックオフィスDX化はなぜ難しいのか

2021年11月22日(月)11時05分
山口ヨシカズ ※経営ノウハウの泉より転載

企業のタイプ別バックオフィスのデジタル化でまずやるべきこと

では、中小企業はどのようにデジタル化に取り組めばよいのでしょうか? ここからは、先述した課題を踏まえ、バックオフィスのデジタル化で最初に何をやるべきなのか、企業のタイプ別に解説します。

■スタートアップ企業

本来、スタートアップ企業が注力するべきはプロダクト開発や成長戦略、組織拡大に繋がる活動であり、バックオフィス業務に取られるリソースは最小限にするほうがよいですよね。

ところが、バックオフィスで必要な雑用や単純作業を経営者や幹部が担っているケースも多いと思います。また、スタートアップ企業はまだバックオフィス管理のノウハウが蓄積されておらず、デジタル化に必要な課題点を洗い出すのも困難です。

そこで、スタートアップ企業ではSaaS(Software as a Serviceの略:いわゆる"クラウドサービス")を用いた既成のパッケージツールをまず導入し、そのツールの仕様に業務を合わせるようにすることをおすすめします。スタートアップの段階ではバックオフィス業務を大雑把に管理してしまいがちなのですが、規模が拡大してから細かく整備するのは多大な手間と資金が必要です。スタートアップの段階からバックオフィス業務が総合的にまかなえるパッケージを導入して最初から自動化してしまうほうがよいでしょう。

クラウドサービスであれば、組織規模の拡大に合わせて柔軟にライセンスを追加していけるのでスタートアップ企業には向いているといえます。

■バックオフィスに単純作業が多い企業

バックオフィスに単純作業が多い企業の場合、まず一部だけ業務のデジタル化を実施しましょう。いっぺんに既存のワークフローのすべてのデジタル化を図ろうとはせず、影響範囲の小さい業務から始めるのが重要です。

例えば、給与計算の業務の自動化はバックオフィス内の担当者ベースで話が進められます。デジタル化は現場社員の抵抗によって頓挫するケースも多いため、小さい成功体験を積み上げ、社員にとってメリットがあると理解してもらう必要があります。

その際には、できるだけ現場社員たちの人望を集めている影響力の強い社員に利便性を体感してもらい、推進派に引き込むなどの工夫があるとよいでしょう。

■紙の書類が多い企業

社内・社外に限らず紙の書類が多い企業は、まず紙の書類の電子化を検討するべきです。膨大な書類をスキャンするにはかなり工数がかかりますので、アウトソーシングも活用しましょう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、1カ月半内にサウジ訪問か 1兆ドルの対

ビジネス

デフレ判断の指標全てプラスに、金融政策は日銀に委ね

ワールド

米、途上国の石炭からのエネルギー移行支援枠組みから

ビジネス

トランプ氏、NATO加盟国「防衛しない」 国防費不
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中