中小企業のバックオフィスDX化はなぜ難しいのか
企業のタイプ別バックオフィスのデジタル化でまずやるべきこと
では、中小企業はどのようにデジタル化に取り組めばよいのでしょうか? ここからは、先述した課題を踏まえ、バックオフィスのデジタル化で最初に何をやるべきなのか、企業のタイプ別に解説します。
■スタートアップ企業
本来、スタートアップ企業が注力するべきはプロダクト開発や成長戦略、組織拡大に繋がる活動であり、バックオフィス業務に取られるリソースは最小限にするほうがよいですよね。
ところが、バックオフィスで必要な雑用や単純作業を経営者や幹部が担っているケースも多いと思います。また、スタートアップ企業はまだバックオフィス管理のノウハウが蓄積されておらず、デジタル化に必要な課題点を洗い出すのも困難です。
そこで、スタートアップ企業ではSaaS(Software as a Serviceの略:いわゆる"クラウドサービス")を用いた既成のパッケージツールをまず導入し、そのツールの仕様に業務を合わせるようにすることをおすすめします。スタートアップの段階ではバックオフィス業務を大雑把に管理してしまいがちなのですが、規模が拡大してから細かく整備するのは多大な手間と資金が必要です。スタートアップの段階からバックオフィス業務が総合的にまかなえるパッケージを導入して最初から自動化してしまうほうがよいでしょう。
クラウドサービスであれば、組織規模の拡大に合わせて柔軟にライセンスを追加していけるのでスタートアップ企業には向いているといえます。
■バックオフィスに単純作業が多い企業
バックオフィスに単純作業が多い企業の場合、まず一部だけ業務のデジタル化を実施しましょう。いっぺんに既存のワークフローのすべてのデジタル化を図ろうとはせず、影響範囲の小さい業務から始めるのが重要です。
例えば、給与計算の業務の自動化はバックオフィス内の担当者ベースで話が進められます。デジタル化は現場社員の抵抗によって頓挫するケースも多いため、小さい成功体験を積み上げ、社員にとってメリットがあると理解してもらう必要があります。
その際には、できるだけ現場社員たちの人望を集めている影響力の強い社員に利便性を体感してもらい、推進派に引き込むなどの工夫があるとよいでしょう。
■紙の書類が多い企業
社内・社外に限らず紙の書類が多い企業は、まず紙の書類の電子化を検討するべきです。膨大な書類をスキャンするにはかなり工数がかかりますので、アウトソーシングも活用しましょう。