コロナ禍で「売れた↗」「売れなくなった↘」商品ランキングTOP30

2021年3月27日(土)10時08分
伊藤 歩(金融ジャーナリスト) *東洋経済オンラインからの転載

hisa nishiya - iStockphoto

新型コロナの感染が確認されてから、2度目の桜のシーズンがやってきた。市場調査会社のインテージが、新型コロナ禍の影響を受ける直前から週次で全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストア、ディスカウントショップなどの販売動向を追っている「新型肺炎カテゴリー動向」。

今回からデータソースを変更し、昨年末まで約4000店だった調査対象店舗を、年明けから約6000店舗に拡大、精度を高めるため設計の見直しも実施した。2020年1月6日週からだったデータの起点も2019年12月2日週に変更、補正をかけた。

このほど公表した1月最終週までのデータでは、新型コロナ時代の"3種の神器"であるマスク、手指消毒剤、非接触型体温計の一部に変化が現れた。

対前年比で大幅減に転じたマスク、手指消毒剤

まずは次の"新3種の神器"のグラフをご覧いただきたい。最大で前年同期比3000%に迫る場面もあったので、30%や40%の伸びが小さな伸びに見えるが、新型コロナ襲来直前の2019年12月は、インフルエンザが大流行したため、マスク、手指消毒剤、非接触型体温計の販売高は、軒並み対前年比で数十パーセントの伸びを示していた。

newsweek_20210325_224300.jpg

それが1月に入って収束。1月下旬頃から新型コロナの影響でマスクと手指消毒剤が数百パーセントの伸びとなり、供給が追いつかなくなった3月にいったん後退。供給が追いついたことで、5月以降は1000%超えが常態化した。

非接触型体温計は供給が追いつきだした時期が、マスクや手指消毒剤に比べて1カ月ほど遅れたので、1000%を超えだしたのは7月に入ってから。マスクや手指消毒剤が8月以降、下降線をたどったのに対し、非接触型体温計は1000%台の伸びが年明け以降1月18日週まで継続。1月25日週でようやく295.0%に下がった。

公共施設や店舗など、どこでも入場の際に非接触型体温計による検温が常態化したことが原因だろう。1月25日週の新3種の神器の前年同期比は、マスクが21.3%(前年同期比78.7%減)、手指消毒剤が34.2%(同65.8%減)だが、非接触型体温計は295.0%と、一時期ほどではないにせよ、いまだ高水準の伸びが続いている。

新3種の神器の伸び率があまりにも大きいので目立たないが、血圧計が12月以降40%台の伸びを示している。

newsweek_20210325_224653.jpg

コロナ前は、血圧計は市役所や病院、クリニックの待合室に設置されていて、自由に計測することができたが、不特定多数が接触する物品として、一斉に撤去されてしまった。

筆者も血圧は通っていたスポーツクラブで測定していたが、コロナでスポーツクラブ自体が休業してしまい、タダで測定できる場を失ってしまった。そんなタダで計測できる場を失った人たちの需要を取り込んでいるということかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ車販売、3月も欧州主要国で振るわず 第1四半

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ビジネス

ECB、インフレ予想通りなら4月に利下げを=フィン

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中