最新記事

航空機

コロナの長期運休でパイロットの腕が落ちた? 運航再開で問題多発、専門家らがリスク警告

2020年12月15日(火)19時04分

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で長期にわたって保管されていた航空機を再稼働させるにあたり、規制当局や保険会社、専門家らは、航空会社に細心の注意を払うよう警告している。写真は仏タルブの駐機場で6月撮影(2020年 ロイター/Stephane Mahe)

新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で長期にわたって保管されていた航空機を再稼働させるにあたり、規制当局や保険会社、専門家らは、航空会社に細心の注意を払うよう警告している。操縦士の技能が低下したり、メンテナンス時にミスが発生したりする可能性があるほか、昆虫の巣が主要なセンサーの機能を阻害する事例が起きているためだ。

新型コロナ感染抑制策が各地で導入され、旅行需要が激減する中、一時は世界全体の航空機の3分の2が運休する事態となっていた。そのため、運航再開に伴い、問題が報告されるケースが相次いでいる。

国際航空運送協会(IATA)によると、航空機が空港に近づく際に機体が不安定になる事例が今年急増しているという。こうした問題はハードランディング(硬着陸)や滑走路を超えて走行する事態のほか、墜落事故にもつながる恐れがある。

保険仲介大手エーオンのアジア航空機部門責任者、ゲリー・モラン氏によると、保険会社はIATAのデータを受け、着陸に重点を置いた操縦士の追加訓練を行っているかどうか航空会社に聞き取りを行っているという。

また、欧州航空安全局(EASA)によると、長期間の保管後初の運航で、信頼できない対気速度や高度が表示される事例が多く報告される「憂慮すべき傾向」が見られている。

このため、離陸を取りやめたり、空港に引き返したりしたケースもあるという。

多くの場合、主要なセンサーの内部に作られた昆虫の巣が原因であることが判明している。

法律事務所HFWの航空宇宙専門パートナー、ケイト・シートン氏は、前例のない規模の運休からサービスを再開するにあたり、乗務員は不具合が十分に検知されていない可能性に注意を払う必要があると指摘。「われわれは新たな領域に入っており、航空業界はリスク低減に向けた措置を講じるとともに予期せぬ事態に備える必要がある」と語った。

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

コンゴ・ルワンダ、米仲介の和平協定に調印 鉱物巡る

ビジネス

IMF、日本の財政措置を評価 財政赤字への影響は限

ワールド

プーチン氏が元スパイ暗殺作戦承認、英の調査委が結論

ワールド

プーチン氏、インドを国賓訪問 モディ氏と貿易やエネ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させられる「イスラエルの良心」と「世界で最も倫理的な軍隊」への憂い
  • 3
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 6
    「ロシアは欧州との戦いに備えている」――プーチン発…
  • 7
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 8
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 9
    【トランプ和平案】プーチンに「免罪符」、ウクライ…
  • 10
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 4
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 8
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 9
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 10
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中