最新記事

自動車

日・自動車メーカーも感染対策医療器具製造へ スズキは呼吸器・マスク・防護服生産、トヨタは米国で呼吸器など

2020年4月1日(水)21時23分

日本の自動車メーカーが海外で人工呼吸器やマスクなどの生産に乗り出している。写真はスズキのロゴ。ニューデリーで2016年2月撮影(2020年 ロイター/Anindito Mukherjee)

日本の自動車メーカーが海外で人工呼吸器やマスクなどの生産に乗り出している。新型コロナウイルス感染拡大による供給不足に対応するためで、米国でのトヨタ自動車<7203.T>に続き、スズキ<7269.T>もインドの現地子会社マルチスズキが現地メーカーのAgVa Healthcare社と組み、月1万台のペースで人工呼吸器の共同生産を目指す。

インド政府の要請を受け、マルチスズキは3月28日、人工呼吸器を生産すると発表した。また、現地パートナーとの合弁会社を通じて3層構造マスクも製造し、インド政府と北部ハリヤナ州に供給する。同州には同社の四輪と二輪の工場がある。さらに防護服も別の現地メーカーとの合弁会社で生産する。政府などの承認が下り次第、生産を始める。

スズキのインド工場は、モディ首相が3月下旬に新型コロナ対策で全土封鎖を発令したことを受け、4月14日まですべて一時停止している。再開時期は当局の方針に従う。

世界的な品不足が続く人工呼吸器は、これまでに生産経験のない自動車、電機などのメーカーが各国で生産に着手している。感染者数が世界最多となった米国では自動車メーカー大手による生産が急ピッチで進んでいる。

トヨタ自動車も3月27日、米国で医療機関向けフェースガードの生産と人工呼吸器メーカーの増産を支援すると発表。フェイスガードは米国工場の3Dプリンターを活用し、4月初旬から生産を開始。テキサス州やインディアナ州、ケンタッキー州などの病院に供給する。人工呼吸器メーカーと連携して部品供給や物流も支援する。

米国のトランプ大統領は27日、「国防生産法」に基づく権限を行使し、米ゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N)に対し人工呼吸器の生産を命じた。GMの製造責任者、ジェラルド・ジョンソン氏はロイターに対し、夏までに1カ月当たり1万台の生産を目指すと述べた。GMは今週、ミシガン州の工場でマスクの生産も開始する予定で、4月半ばまでに1日5万枚を生産する見通し。

米フォード・モーター(F.N)も30日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)のヘルスケア部門と提携し、今後100日間にミシガンの工場で、人工呼吸器5万台を生産すると発表した。その後は必要に応じて月3万台の生産が可能という。

(白木真紀)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に
・新型コロナウイルスをめぐる各国の最新状況まとめ(4月1日現在)
・東京都、都立学校の休校をGWまで延長へ 新型コロナウイルス感染拡大で


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウェイモ、リフトと提携し米ナッシュビルで来年から自

ワールド

トランプ氏「人生で最高の栄誉の一つ」、異例の2度目

ワールド

ブラジル中銀が金利据え置き、2会合連続 長期据え置

ビジネス

FRB議長、「第3の使命」長期金利安定化は間接的に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中