最新記事

キャッシュレス

韓国、キャッシュレス完了した国が進める「コインレス社会」

2020年2月16日(日)11時15分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

近い将来、韓国から硬貨がなくなる日が来る?

<日本でもようやく普及しだしたキャッシュレス決済。一方、クレジットカードの利用が普及した韓国では次なる目標が掲げられている>

ここ数年、中国人観光客の爆買いや今年開催される東京五輪に多くの訪日外国人が来日することを見込んで、キャッシュレス化が進んでいた日本だが、昨年秋の消費税増税のタイミングで導入されたポイント還元でその波はさらに勢いをつけたように思える。

最近では○○Payも定着しつつあり、数多く存在するPayの競争は激しさを増しているようだ。テレビCMでよく見かけたヤフー系列のPayPayがおなじみだったが、その後メッセージアプリで有名なLINEペイも幅を利かせていた。しかし、最近では今月から毎週10億円還元キャンペーンを行っているauPayが話題の中心となっている。

海外のキャッシュレス決済は?

キャッシュレス決済といえば日本でも爆買いで有名になった中国人観光客がよく使うQRコード決済がイメージされるだろう。日本でも中国人観光客が買い物する際に便利なようにと対応する店が増えていった。中国人の旅行客がスマホで決済する様子はもうすでにおなじみの光景だろう。ちなみに中国本土では、店舗だけでなく路上の屋台でもQRコードが利用できるという。

欧米でいえばフランスでは、1000ユーロ以上の商品の現金購入が禁止である。違反する場合はさらに過料が発生する。またスウェーデンでは、お店の方がお客に対して現金払いを拒否することが法律で認められている。

さて、お隣りの国、韓国では日本よりもずっと先にキャッシュレス化が進んでいる。筆者が韓国に住んでいた頃も、100円ほどのガム1個買うのすらクレジットカードやチェックカード(日本でいうデビットカードの意味)を使用していた。その普及率はすでに9割を超えているほどだ。韓国は、キャッシュレスはほぼ完了し、数年前からは将来的に硬貨がない社会──コインレス社会に取り組んでいる。

さかのぼること3年前、2017年4月に韓国の中央銀行である韓国銀行は「2020年までには"硬貨の無い社会(COINLESS SOCIETY)"を実現する」と発表した。これは、2017年の4月20日より、コンビニエンスストアや大型スーパーマーケットなど全国2万3050店舗を皮切りに、買い物をして現金で支払いをした場合、そのおつりを店舗カードのポイントか、もしくはICカードの韓国版「交通カード」に返金するというシステムだ。

2017年末には、大手コーヒーチェーン店や、ドラッグストアなどにも導入され、3万6500店舗で利用可能になった。溜ったポイントは、現金と同じように使用が可能で、一定金額を超えるとATMで現金引き出しもできるようになっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア政府系ファンド責任者、今週訪米へ 米特使と会

ビジネス

欧州株ETFへの資金流入、過去最高 不透明感強まる

ワールド

カナダ製造業PMI、3月は1年3カ月ぶり低水準 貿

ワールド

米、LNG輸出巡る規則撤廃 前政権の「認可後7年以
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中