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金融日本主導で仮想通貨版SWIFT創設へ 国際送金時の個人情報を共有
暗号資産(仮想通貨)を国内外の取引所経由で送る際、個人情報を迅速にやり取りするため、日本の財務省・金融庁が主導して「暗号資産版SWIFT」を創設する計画が国際的な機関で承認されたことが分かった。写真は2017年10月撮影(2019年 ロイター/Dado Ruvic)
暗号資産(仮想通貨)を国内外の取引所経由で送る際、個人情報を迅速にやり取りするため、日本の財務省・金融庁が主導して「暗号資産版SWIFT」を創設する計画が国際的な機関で承認されたことが分かった。関係筋が明らかにした。国内外の業界団体や専門家が連携して技術開発に当たり、数年以内の稼動を目指す。
新システムが機能すれば、マネーロンダリング(資金洗浄)抑止につながるだけでなく、暗号資産が決済手段の1つとしてグローバルに存在感を増す可能性がある。
米フェイスブックの暗号資産「リブラ」を巡り、欧米当局者の間では暗号資産の規制強化を求める声が強まっているが、暗号資産版SWIFTについては、マネロン抑止が主目的のため、欧米当局からの批判は出ていないという。
関係筋によると、資金洗浄防止やテロ資金供与防止に向けた取り組みを議論・推進する多国間組織、金融活動作業部会(FATF)が6月に開いた総会で、日本が提案した「暗号資産版SWIFT」の開発計画が了承された。
今後は、FATF内に設置された監視チームが、開発状況などを定期的に確認する。
モデルとなった国際銀行間通信協会(SWIFT)は、銀行経由で国際送金する際に顧客情報をやり取りするネットワークシステム。ベルギーに本部があり、世界中の金融機関が標準化された通信フォーマットで大量の決済業務を行っており、国際的な金融インフラとして機能している。
一方、6月のFATF総会では、加盟国の法制度に拘束力が及ぶ「FATF勧告」について、暗号資産の交換業者や保管業者に適用することで最終合意した。銀行並みの規制強化を求めることが柱だが、中でも、暗号資産を国内外の交換業者を経由して送る際に、交換業者が送金元と送金先の口座番号や利用機関、住所などの情報を即時に共有し、必要に応じて当局も共有できる体制の整備を義務付けた。
だが、この規制はハードルが高く、関係者の間で波紋を呼んだ。FATF勧告はマネロン防止に主眼を置くが、瞬時に膨大に行き交う暗号資産の取引について、交換業者が送金先の個人情報まで取得するのは技術的に困難なためだ。
暗号資産の交換業者によると、送金の度に経由する業者と相対で個人情報をやり取りする必要が出てくるものの、メールでやり取りするには取引が多過ぎて、対応しきれない可能性が高いという。
犯罪収益移転防止法では、交換業者に本人確認義務が課されているが、送金先の情報の取得義務に関する法規制は未整備となっている。
このため日本の当局は6月の総会で、FATF勧告を受けて各国が直ちに国内法を整備するのは難しいと主張。FATF勧告を実効的なものとするための代案として、「暗号資産版SWIFT」の創設を提唱し、そこに各国の業者が参加することで、個別に対応しなくて済むシステムの構築を目指すことにした。
財務省と金融庁は、ロイターの報道について「コメントを差し控える」とした。
(和田崇彦 編集:田巻一彦)
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