株価暴落の余波で米年金の崩壊が始まった
2014年7月3日(木)13時50分
年金受給予定者の元にはすでに、年金を支給できないとの通知が届きはじめている。ニューヨークに暮らすキャロル・カシオは、食品業界で33年間働いた後、亡くなった夫の遺族年金を毎月400ドル受け取る予定だった。ところが支払い開始の段になって、夫が遺した年金は「解散した」という通知が届いたという。
年金が立ち行かなくなった原因の1つは労働組合員が減少し、積立の原資が減っていることにある。さらに01年以降の2度の株価暴落も足を引っ張っている。連邦議会は1974年、積み立てた年金を必ず受け取れるよう定めた「従業員退職者所得保証法(ERISA法)」を制定した。だが05年の法改正によって、一部の年金プログラムについては年金の存続を優先して給付を減免できることになった。カシオが遺族年金を受け取れないのも、そのためだ。
05年の法改正では、退職者は給付免除の対象外だった。しかし抜本的な救済策が講じられなければ、近い将来、多くの退職者が年金なしの老後を余儀なくされそうだ。
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