最新記事

テクノロジー

グーグルプラスはツイッター・キラー

新しいSNSサービスはツィッターを脅かし、フェースブックを時代遅れにする革新的なサービスだ

2011年9月9日(金)12時43分
ダニエル・ライオンズ(テクノロジー担当)

猛スピード 開始後数週間でユーザーが2000万人に達した勢いから見ると、先頭に立つ日も近い? Erin Lubin-Bloomberg News/Getty Images

 過去2年間、グーグルはSNS最大手フェースブックに対抗する新たなSNSサービスを開発しては失敗してきた。だが6月末に立ち上げた新サービス「グーグルプラス」は大成功。利用者が殺到し、一部の推計によると数週間でユーザーが2000万人に達した。

 ところがグーグルがフェースブックに加えた一撃は跳ね返り、間違った標的に当たったらしい。現在、グーグルプラスの最大の被害者はどうやらツイッターのようだ。

 実際、グーグルプラスは、開始から5年たってもまだビジネスモデルの定まらないツイッターにとって致命的な打撃となり得る。グーグルプラスは、ツイッターでできることはすべてできる上に、より良い機能を備えている。第一、140文字というばかげた制限がない。無理をして言葉を短縮しなくてもいいのだ。まさに革命的だ。

 書き込みに対する返事は、その書き込みの下に現れる。実生活で誰かと話をし、相手が答えてくれるのと同じ感覚だ。

 グーグルプラスの最大の特徴は、登録したユーザーを区分できる「サークル」という機能だ。例えば家族と職場の同僚を別々のサークルに分け、自分の投稿を読む相手を制限することができる。

 サークルはコメントを読むときも役に立つ。すべてをごた混ぜに受け取るより、サークルごとのほうが読みやすい。

 ソーシャルメディアに詳しいロバート・スコーブルに言わせると、グーグルプラスに比べたらツイッターは「退屈」で「古臭い」存在だ。

 ソーシャルメディア専門家のダン・ギルモアも、ツイッターで4年かけて獲得した以上のフォロワーが、グーグルプラスでは4週間で付いたと言う。

デザインも機能も格上

 このような熱烈な支持を背景に、グーグルプラスはわずか16日間でユーザー1000万人に達した。ツイッターとフェースブックがそこまで拡大するには2年以上かかった。

 ただし、ツイッターの利用者は現時点で2億人、グーグルプラスの10倍だ。フェースブックの利用者に至っては7億5000万人もいる。

 だが帝国の崩壊は、目に見えないほど小さな穴から始まるもの。最初は小さくとも、サービスの向上と利用者の増加が続けば覇権交代は時間の問題だ。

 ソーシャルメディアの世界では、新しいサービスがもてはやされる。しかし利用者が増え過ぎると陳腐になり、消滅の道をたどる。かつて最先端だったAOLも、今ではAOLのメールアドレスを使っているだけで時代遅れと見なされる。

 マイスペースも、かつては人気絶頂だった。だがフェースブックが流行に敏感な若者のたまり場になると、マイスペースはスラム同然になった。

 現在、フェースブックは高齢者でさえ利用している。加えてスパムメッセージやうるさい広告、陳腐なゲームだらけになって、もう流行の先端とも特別な場所とも感じられない。

 デザインの問題もある。グーグルプラスのすっきりしたデザインに比べ、フェースブックは散漫で醜悪だ。

 もっと大きな問題もある。フェースブックという会社の好感度が低い点だ。昨年の顧客満足度調査によれば、フェースブックの点数は航空会社やケーブルテレビ会社並みだった。

 フェースブックを利用することが、AOLのメールアドレスを使うのと同じくらい時代遅れに見えるようになるのはいつだろう。グーグルからすれば、早ければ早いほどいい。

[2011年8月10日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン首都で自爆攻撃、12人死亡 裁判所前

ビジネス

独ZEW景気期待指数、11月は予想外に低下 現況は

ビジネス

グリーン英中銀委員、賃金減速を歓迎 来年の賃金交渉

ビジネス

中国の対欧輸出増、米関税より内需低迷が主因 ECB
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ギザのピラミッドにあると言われていた「失われた入…
  • 7
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 8
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中