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ユーロギリシャ、スペイン危機で強まる政治的結束
ギリシャの財政赤字問題に端を発した経済危機で、ユーロ圏崩壊を憂う声が上がっている。ギリシャに次いで注目されるのはスペインだ。経済が悪化の一途をたどる同国の失業率は約20%に達し、財政赤字はGDP比11%を上回る。
より裕福なユーロ加盟国が救済に二の足を踏むなか、経済危機に陥った国々が自国を守る唯一の道はユーロ圏を離脱し、再び自国通貨を導入することだと主張するアナリストもいる。だが離脱しても、さらなる危機に見舞われるだけだろう。自国通貨の価値が大幅に下落するからだ。
通貨統合の歴史を振り返ると、各国は経済ではなく政治によって結び付いたり、分裂したりする。ラトガーズ大学の歴史家マイケル・ボードによれば、アメリカが1世紀以上の年月と幾多の危機を経てドルを通貨単価として制定した際も、最終的にそれを後押ししたのはより強固な合衆国をつくるという政治的な目標だった。
それと同じことがいまヨーロッパで起きている。これまで加盟国間は緩い協調関係にすぎなかったが、ギリシャやスペインの危機でより広範な政治的結束が求められている。今やギリシャの国家財政は実質的にEUの管理下にあり、EU当局者たちは各国の財政赤字を監視する新たな権限を手にしつつある。
改革には抵抗もあるだろうが、ユーロの分裂という選択肢がない以上、前に進むしかない。
[2010年3月10日号掲載]